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4.イノベーションプロジェクト・イノベーション施策
5Gを活用したイノベーションプロジェクト
Innovation Projects Utilizing 5G Technology
今後最も期待される技術の一つである,「5G」(第5世代移動通信システム)を活用した施策を企画,実施した.「5G」は,従来に比べて“高速・大容量”,“低遅延”といった特長を有しており,それらの特長を生かし,“新たな観戦スタイル”を具現化する三つの施策を展開した.会場は残念ながら無観客ではあったが,関係者を中心に体験してもらい,大きな反響を得た.今後,他競技への展開も含め,このような新たな観戦スタイルの本格化が期待される.
キーワード:イノベーション,5G,高速・大容量,低遅延,高臨場感,新たな観戦スタイル
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は,東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下,東京2020大会)を「史上最もイノベーティブな大会にする」ため,幾つもの取組みを行った.その中で「イノベーティブな新たな観戦体験」を提供すべく,最新技術の一つである“5G”を生かした施策の展開が期待されたことから,その実現に取り組んできた.
“5G”とは,第5世代移動通信システムの略であり,携帯電話などの通信に用いられる次世代通信規格のことである.現在普及している“4G”と比べて,“高速・大容量”,“低遅延”などの特徴を有し,例えば,最高伝送速度は10Gbit/s,遅延は1ms程度と想定されている(1).“5G”と,AI(Artificial Intelligence)やIoT(Internet of Things)といった他の技術とを組み合わせることで新たな産業構造の変化も期待されており,世界中でその導入が進んでいる.日本でも2020年商用サービスが開始された.
このように世界が注目している“5G”を活用した施策は,関連パートナーの多大なる支援,協力を頂くことで実現できた.「新たな観戦体験の提供」を目的としたものの,無観客という残念な結果になったが,大会関係者やメディアの方々には十分アピールすることができた.
本稿では,“5G”を活用した新たなスポーツ観戦体験を提供するプロジェクト「TOKYO2020 5G PROJECT」(図1)が企画・実施した三つの施策を説明する.
サービスの実現に向けては多くの課題があったが,一つ一つ大会関係者との調整を通してクリアし,主に三つの会場で施策を展開した.“5G”の特長のうち,「セーリング」「ゴルフ」での施策では,“高速・大容量”,「水泳競技」での施策では,“低遅延”を最大限生かしたものとした.また,本プロジェクトは以下の体制で実施した.
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