小特集 7. サイバーセキュリティの観点でのドローン

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Vol.105 No.9 (2022/9) 目次へ

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ドローン活用の今

小特集 7.

サイバーセキュリティの観点でのドローン

The Context of Cybersecurity for Drones

竹久達也 古本啓祐 中尾康二

竹久達也 正員 国立研究開発法人情報通信研究機構サイバーセキュリティ研究所

古本啓祐 正員 国立研究開発法人情報通信研究機構サイバーセキュリティ研究所

中尾康二 正員:フェロー 国立研究開発法人情報通信研究機構サイバーセキュリティ研究所

Tatsuya TAKEHISA, Keisuke FURUMOTO, Members, and Koji NAKAO, Fellow (Cybersecurity Research Institute, National Institute of Information and Communications Technology, Koganei-shi, 184-8795 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.105 No.9 pp.1130-1135 2022年9月

©電子情報通信学会2022

Abstract

 ドローン技術の発展により,ドローンの利活用が急速に進んでいる.ドローンは,自動運転車やロボットなどとは違い,空を飛ぶという属性を持つため注意すべき点は多い.ドローンを空飛ぶIoT機器という観点で見ると,サイバーセキュリティ分野における攻撃法や防御法への理解は重要である.そのため,本稿では,IoT機器のセキュリティ,Smart Shipのセキュリティを紹介し,サイバーセキュリティの観点でのドローンについて考える.

キーワード:ドローン,サイバーセキュリティ,IoT機器,Smart Ship

1.は じ め に

 ドローン技術の発展により,ドローンの利活用が急速に進んでいる.

 物流分野においては,物流が行き届かない過疎地や僻地などへの輸送手段としての活用法,農業分野においては,農薬散布や,広範囲な育成状態のモニタリング,監視・点検・整備・検査においては,敷地内へ侵入した人や自動車などの追跡監視,高所などの危険が伴う場所の点検や整備,移動が困難な災害時などでの状況確認や要救助者の捜索など,ドローンの利活用範囲は非常に多いと言える.

 このように,利活用範囲が広いドローンは,近年,ますます高度化し,「無線操縦できる空飛ぶIoT機器」という状況となっている.このことは,近年,特に注目されているサイバーセキュリティ分野でのIoT機器セキュリティをドローンにも適用し,安全・安心なドローンの運用が求められていると考えられる.空を飛ぶというドローンの属性を考えると,地上で移動しないIoT機器のセキュリティ以上に検討すべきことが多いといえる.

 本稿では,IoT機器のセキュリティとして関連組織の取組み並びに研究動向を解説し,ドローンのセキュリティに関連して水上で活躍しているSmart Shipのセキュリティについて解説する.最後に,ドローンのセキュリティに言及し,全体をまとめることとする.

2.IoT機器のセキュリティ

 IoT機器の出荷台数は,2020年において,約250億台となっており(1),右肩上がりで増加しているのが現状である.このようなばく大な数の機器が稼動している社会において,IoT機器のセキュリティを高める必要性はいうまでもない.今日,IoT機器は,身近に利用するスマートフォンやウェアラブルデバイス,ゲーム端末,タブレット端末以外にも,ブロードバンドルータや,監視カメラ,スマートホーム,工場などのスマートファクトリー,ビルなどの制御,人が立ち入られる場所,立ち入られない場所に関係なく,長期にわたり設置・運用されている.これらのIoT機器がインターネットに接続され,クラウドシステムなどと連携することで,豊かな社会生活基盤として利活用されている.


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