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解説
ネットワーク仮想化に関する標準化と実装の動向
The Trend of Standardization and Implementation in Network Virtualisation Technologies
A bstract
ネットワーク仮想化(Network Functions Virtualisation(NFV))は,これまで専用のハードウェアに実装されていたネットワーク機能を仮想化して汎用サーバ上に実装する概念であり,通信事業者を中心に注目を集めている.本稿は,NFVの重要な課題の一つである,仮想化されたネットワーク機能の管理に関して,ETSI(European Telecommunications Standards Institute)による標準化の動向,及び,同標準に準拠するオープンソースソフトウェアの一つであるOpenStack Tackerを紹介する.
キーワード:ネットワーク仮想化,標準化,オープンソースソフトウェア,通信インフラ
ネットワークオペレータやネットワークソフトウェアベンダをはじめとする多数の事業者からネットワーク機能の仮想化が注目を集めるようになって久しいが,その勢いはいまだ衰えを見せていない.仮想化とは,コンピュータやネットワークのハードウェアを抽象化し,それらをソフトウェアとして管理する技術である.複数のユーザとソフトウェアによるハードウェアの共用を容易にすることから,クラウドコンピューティングを筆頭に情報インフラの安価,迅速な提供を支える主要技術の一つになっている.ところが,ネットワーク事業者が保有する通信インフラの仮想化は,その期待とは裏腹にいまだ導入途上にある.大衆向けのクラウドコンピューティングサービスにはない通信インフラ特有の要件である,厳格なシステム可用性基準と高速な通信処理が導入障壁になっている.これらの要件を満たすために,これまで通信事業者が提供するネットワーク機能は専用ハードウェアに実装されることが一般的であった.そのため,予想最大需要に合わせた非効率なリソース運用や,構成装置のEnd of Life(EOL)によるシステム総更改を余儀なくされ,設備投資額の高止まりが問題とされてきた.仮想化の導入により,複数のネットワーク機能を汎用サーバ上に重畳させ,サービス需要に応じた柔軟な構成変更が可能になることへの期待は大きい.通信インフラの仮想化は図1に示す変遷をたどっている.成熟を迎えつつあるのは,Virtual Network Function(VNF)と呼ばれる,Virtual Machine(VM)によるネットワーク機能の実現である.更に昨今は,VMよりも軽量であるコンテナを使用するCloud-Naitive Network Function(CNF)と呼ばれる仮想化形態へと移行しつつある(1).
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