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近年,ディスプレイの大画面化・高精細化が進み,より没入感や再現性の高い高画質なディスプレイが求められている.ディスプレイの高画質化に向けた要素としては,高輝度,高コントラスト,高色域,高フレームレートなど多岐にわたる.本稿では特に近年注目されている技術の中から,最大輝度10,000nt(用語)を実現する高輝度化技術や,液晶ディスプレイ(LCD: Liquid Crystal Display)の高コントラスト化に向けたローカルディミング技術,デュアルセルLCD技術,マイクロLED(Light Emitting Diode)を用いたLEDディスプレイ,高フレームレート化技術の開発動向について述べる.
現在,高画質な映像フォーマットとしては,ITU-R勧告BT.2020において,4K・8K解像度や,実在する物体色をほぼ全て含有する色域,フレームレート120Hzなどが規格化されている.また,ITU-R勧告BT.2100では,より鮮やかな映像表現を可能とするHDR(High Dynamic Range)について,PQ(Perceptual Quantizer)方式とHLG(Hybrid Log-Gamma)方式が規格化されている.PQ方式では,映像のコード値と輝度の絶対値の関係を規定しており,最大輝度は10,000ntとし,人の視覚特性に基づく輝度特性を有し,HLG方式に比較してより非線形な特性となり,多くの映像コード値を暗部に割り振っている.一方で,NHKとBBC等で提案されたHLG方式は,これまでのSDR(Standard Dynamic Rage)方式との互換性も考慮した輝度特性とすることで,ライブ放送などに向いている.
CES(用語)2018では,10,000ntでの表示が可能な85インチ8K LCDが展示された.高精細で高輝度・高コントラストな映像表示を実現することにより,これまでとは異なるリアリティの高い表現を可能にした(1).高輝度で高精細なディスプレイは,質感などの表現力が高く,あたかもそこに存在するかのように感じ,窓を通して物を見ているかの感覚を得られるとしている.また,真にリアリティの高い映像表現のためには,高輝度や高コントラストだけではなく,階調性の高さが重要となるとしている.
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