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◆今月のニュース解説
60GHz帯無線で飛しょう中ドローン間の「すれ違い通信」に成功
――ドローンによる物流網を活用した大容量データ集配信ネットワークの実現に期待――
60GHz-band Passing-by Wireless Communication between UAVs: Toward High-capacity Data Distribution Network with UAV-based Logistics Infrastructure
――ドローンによる物流網を活用した大容量データ集配信ネットワークの実現に期待――
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は,60GHz帯無線を用いた飛しょう中ドローン間のデータ伝送実験を試み,ドローンがすれ違う僅か“0.5秒”の通信スポット通過時間で120MByteのデータ伝送に成功した.また,等距離を維持する隊列飛行を行い,より大容量なデータ伝送も可能となることを確認した.
Beyond 5Gが提唱する超カバレージ拡張は,陸上の移動通信ネットワークを空・海・宇宙空間にまで拡張する目標概念である.空中を三次元的に移動できるドローンにミリ波・テラヘルツ波などの超高周波帯通信デバイスを搭載することで,ドローンが超高速な無線回線を使ってデータを受け渡しながら飛行搬送する,上空データ中継ネットワークの構築が可能となる.ただし,伝搬損が大きな超高周波帯は通信スポットが空間的に限定され,特に移動しながらの通信では,通信が可能な時間も限定される難しさがあり,飛しょうするドローン間の超高周波通信の実用性は明らかでなかった.
今回NICTは,ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社と共同で,IEEE 802.15.3e準拠の60GHz帯無線デバイスを搭載したドローン間通信システムを開発し,その2機のドローンを飛しょう中に接近させ(図1),僅か0.5秒程度しかない通信時間で120MByteを超えるデータ伝送に成功した(図2(a)).一般的な通信規格と比較して,2ミリ秒という極めて高速にリンク確立を完了する特徴を生かし(60GHz帯無線LAN規格のIEEE 802.11adでは数秒を要したという報告も見られる),飛しょう中のごく短時間でだけ生じる通信スポットの利用を実現でき,通信可能時間のうち99%に及ぶ区間を実際のデータ伝送に利用できた.
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