小特集 5. データサイエンスのELSI――機械学習を応用する上での適正なデータ活用について――

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電子情報通信技術のもたらす社会・個人への影響――倫理綱領改定に向けて――

小特集 5.

データサイエンスのELSI

――機械学習を応用する上での適正なデータ活用について――

Ethical, Legal, and Social Issues(ELSI)in Data Science: Appropriate Data Utilization in Applications of Machine Learning

森下壮一郎

森下壮一郎 (株)サイバーエージェント学際的情報科学センター

Soichiro MORISHITA, Nonmember (Multi-disciplinary Information Science Center, CyberAgent, Inc., Tokyo, 150-0042 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.106 No.3 pp.199-202 2023年3月

©電子情報通信学会2023

Abstract

 「データサイエンス」は,数理統計学と計算機科学に加えて特定の事業ドメインの知識に基づいて行われるデータ分析を指すときによく使われる用語である.特にビジネス領域で企業により実施されるものを指すことが多い.ビジネスにおける利害得失は,時に倫理規範や法規制及び社会的受容性との整合性を取るのが難しい.その均衡を図りながらデータ分析を実施する上で,特に機械学習を応用する場合に留意すべき点について論じる.

キーワード:データサイエンス,ELSI,統計処理,機械学習

1.は じ め に

 数理統計学と計算機科学に加えて特定の事業ドメインの知識に基づいて行われるデータ分析をしばしば「データサイエンス」と呼ぶ(図1).この用語は,特にビジネス領域で実施されるデータ分析を指すことが多い(1)

図1 データサイエンス

 データサイエンスにおけるデータの取扱いにおいては,従来のセキュリティ分野の要件(機密性,可用性,完全性など)に加えて倫理的・法的・社会的課題,すなわちELSI(Ethical, Legal and Social Issues)を考慮に入れなければならない.


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