小特集 8. ソーシャルメディアのTrust & Safetyに向けた取組み

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電子情報通信技術のもたらす社会・個人への影響――倫理綱領改定に向けて――

小特集 8.

ソーシャルメディアのTrust & Safetyに向けた取組み

Commitment to Trust & Safety on Social Media Platforms

森下壮一郎 高野雅典

森下壮一郎 (株)サイバーエージェント学際的情報科学センター

高野雅典 (株)サイバーエージェント学際的情報科学センター

Soichiro MORISHITA and Masanori TAKANO, Nonmembers (Multi-disciplinary Information Science Center, CyberAgent, Inc., Tokyo, 150-0042 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.106 No.3 pp.211-214 2023年3月

©電子情報通信学会2023

Abstract

 消費者生成メディア(CGM: Consumer Generated Media)やソーシャルネットワーキングサービス(SNS: Social Networking Service)などのソーシャルメディアにおいて,メディアの信頼性担保や未成年者保護(Trust & Safety)のために,プラットホーム事業者がコンテンツモデレーションを行う場合がある.その実施にあたってはユーザの権利に配慮しながら法やガイドラインに沿った対応が求められる.本稿では実例を俯瞰しながら,それぞれの取組みについて考察する.

キーワード:SNS,CGM,Trust & Safety,コンテンツモデレーション

1.は じ め に

 消費者生成メディア(CGM: Consumer Generated Media)やソーシャルネットワーキングサービス(SNS: Social Networking Service)などのソーシャルメディアの拡大は,消費者のコミュニケーションや情報発信を豊かにした.その一方で,CGMに掲載される情報の信頼性の担保や,SNSを介した未成年者の誘い出しリスクへの対処が新たな課題となっている.CGMやSNSの運営事業者は,プラットホームが消費者から信頼を得て,安心かつ安全に利用されるための取組みを実施している.これは,Trust & Safetyと呼ばれる新たな事業領域である(1).その具体的な施策の一つは,コンテンツモデレーションである.これは,プラットホーム事業者がCGMやSNSの適正化を図って,ユーザの投稿等を監視して違法若しくは利用規約違反に相当するものを削除したり,悪質なユーザに対してはアカウント凍結などの対応をしたりすることを指す.その実施にあたっては利用者の権利に配慮しながら法やガイドラインに沿った対応が求められる.本稿では実例を俯瞰しながら,それぞれの取組みについて述べる.

2.コンテンツモデレーションの意義と対象

 本章では,プラットホームを運営する事業者がコンテンツモデレーションを実施する意義を示す.そして,法令遵守の観点からコンテンツモデレーションの対象を大別して,それぞれの特徴を述べる.

2.1 コンテンツモデレーションを運営者が行う意義


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