小特集 2-2 高専における電子工作に関わる活動

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Vol.106 No.4 (2023/4) 目次へ

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「今,だからこそ!」電子工作のすすめ――未来の技術者を育てる電子工作ブームを再び――
2. 教育における電子工作

小特集 2-2

高専における電子工作に関わる活動

Activities Related to Electronics Work at KOSEN

山田健二 嶋田直樹

山田健二 正員 石川工業高等専門学校電子情報工学科

嶋田直樹 石川工業高等専門学校電子情報工学科

Kenji YAMADA, Member and Naoki SHIMADA, Nonmember (Electronics and Information Engineering, National Institute of Technology, Ishikawa College, Ishikawa-ken, 929-0392 Japan)

電子情報通信学会誌 Vol.106 No.4 pp.283-287 2023年4月

©電子情報通信学会2023

Abstract

 電子工作は,作ってみて,その楽しさを感じてもらえるものづくりである.本校電子情報工学科でも実験実習として市販の教材を利用したテスタの製作を行っている.製作したテスタをPC計測に利用することで活用範囲が広がる.基板加工機が導入され,プリント回路基板の製作環境が整ったことをきっかけとして多くの電子工作活動が実現できた.最近は,新たなものを作り出すことにチームでチャレンジする科目としてシステム設計演習が定着している.歴史ある高専ロボコンにかける学生の取組みも含めて紹介する.

キーワード:電子工作,ものづくり,基板加工機,システム設計演習,高専ロボコン

1.は じ め に

 高等専門学校(以下,「高専」という)は中学校教育の基礎の上に実践的・創造的技術者を養成することを目的とし,国公私立合わせて57校あり,全体で約6万人の学生が学んでいる.更に卒業生の一部は2年間の専攻科に進学する学生もいて,修了後は就職あるいは大学院に進学している.その中の石川工業高等専門学校(以下,「本校」という)電子情報工学科における電子工作に関わる活動を振り返る.

2.テスタの製作とその活用

2.1 はんだ付けによるテスタの製作

 ものづくりの実験テーマとして1994年度から,本校電子情報工学科1年生でテスタの製作実習が導入された.テスタはスイッチの切換によって,抵抗,電流,電圧などの大きさを測定できる計測器で電気・電子系の実験実習でよく使われている計測器である.教材キットは三和電気計器株式会社のものを利用し,これまでアナログマルチテスタやディジタルマルチメータ(用語)を製作している.1994年度から2022年度までで29回,1,215名の本科1年生が製作を終えた.実習後のアンケートを毎回実施している.「このような実習でものづくりをすることは好きですか」の設問に全員が「好き」と回答している.はんだ付けを中学までに経験していない学生はごく僅かであり,ラジオやライトなど現在も中学校でものづくりが実施されていることはうれしいことである.「テスタの他に何か作ってみたいものはありますか」の設問には,ロボット,ワイヤレスマイク,ラジコンカー,電子計算機,ラジオ,電源などの希望が毎回ある.

2.2 ディジタルマルチメータの活用


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