小特集 3-2 出版から見た電子工作の現状と近未来

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Vol.106 No.4 (2023/4) 目次へ

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「今,だからこそ!」電子工作のすすめ――未来の技術者を育てる電子工作ブームを再び――
3. 電子工作の輪を広げ支える組織

小特集 3-2

出版から見た電子工作の現状と近未来

The Present and Near Future of Electronics DIY Perspectives from Publishing

内門和良

内門和良 CQ出版株式会社トランジスタ技術編集部

Kazuyoshi UCHIKADO, Nonmember (Transistor Gijutsu Editorial Department, CQ Publishing Co., Ltd., Tokyo, 112-8619 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.106 No.4 pp.297-303 2023年4月

©電子情報通信学会2023

Abstract

 電子工作に関連する雑誌の編集,企画に携わっている立場から,2020~2023年に読者の反応が良かった特集を紹介する.いま電子工作の素材として入手できる部品やモジュールは,ソフトウェアを使う前提のものが増え,ネットワークへの接続も簡単になっている.入手可能な部品も増え,電子工作でできることは,市販製品に近くなってきている.ただし,市販製品は,品質に対する考え方が根本的に異なることも理解しておきたい.今も昔も,これまでにないものを作れるかどうかは,作る人次第である.

キーワード:Raspberry Pi,Arduino,ESP32,基板製造,規格準拠

1.「電子工作」に関連した出版は今でも多い

 「電子工作」をキーワードに本を探してみよう.一般書店に流通する書籍は,ISBNやJANといった流通のための番号が付けられている.タイトル,著書,出版社,発売日,表紙画像(書影という)などの情報は,ISBN番号にひも付けられてデータベース化されており,「出版書誌データベース」のWebサイト(1)では,最近出た本やこれから出る本をキーワード検索や分野別で絞り込むことができる.

 「電子工作」をキーワードにして検索してみたときの画面が図1で,下にスクロールしていくと,タイトルや内容紹介に「電子工作」というキーワードが入った本は月に2~3冊くらいのペースで出版されているようだ.テレビでは,ギャル電さんが電子工作の紹介を頑張っているのを見掛けている.

図1 出版書誌データベースを使って「電子工作」のキーワードで最近発行される本を調べた画面

2.雑誌の売れ筋特集から見たトレンド

 編集者が本の企画を考えるとき,確実な情報源にできるのは,自社の売れ部数だけである.私が所属している編集部の月刊誌で2020~2022年のうちに売れた号のキーワードを挙げると,「リチウムイオン電池」「数学」「Raspberry Pi Pico」「NanoVNA」「3Dプリンタ」「モータ」となる.各項目について,簡単に紹介する.

 「リチウムイオン電池」は,スマートフォンをはじめとしたモバイル機器の電源となるほか,自動車や船舶などの電源として活用が進んでいる.モバイル機器向けの流通品が増えたことから,電子部品の販売店でも,図2のようなリチウムイオンポリマー電池が入手できる.他の電池を使うより,小形で軽量なポータブル機器を作れるメリットがあるので,電子工作に使われることも増えた.ただし,取扱いを間違えると,最悪の場合は発火の可能性があるので,厳重な注意が必要なことと,電子部品販売店で単体販売されている電池は,廃棄の方法がよく分からない問題があることには,留意しておきたい.


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