小特集 3-5 “作ってみた”は正義――技術系展示会「NT金沢」の運営を通して――

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Vol.106 No.4 (2023/4) 目次へ

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「今,だからこそ!」電子工作のすすめ――未来の技術者を育てる電子工作ブームを再び――
3. 電子工作の輪を広げ支える組織

小特集 3-5

“作ってみた”は正義

――技術系展示会「NT金沢」の運営を通して――

“Tried to Make It” is Correct: Based on Managing Technical Exhibition “NT Kanazawa”

秋田純一

秋田純一 正員 金沢大学融合研究域融合科学系

Junichi AKITA, Member (College of Transdisciplinary Sciences for Innovation, Kanazawa University, Kanazawa-shi, 920-1192 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.106 No.4 pp.314-320 2023年4月

©電子情報通信学会2023

Abstract

 本稿では,2013年から金沢で開催している技術系の展示会「NT金沢」について述べる.NT金沢は,電子工作を含めた,広く「自分で作ったもの」を持ち寄って展示し,それについて様々な人たちが「交流」する場である.技術に興味がある人だけでなく,たまたま通り掛かった人が立ち寄るなどの意図しない出会いが多いのも大きな特徴である.展示される作品は,一見すると「遊び」に見えるものも多いが,根底には「科学技術を楽しむ」という思想があり,それが広く「ものづくり」の裾野を広げ,発展させる効果があると思われる.本稿では,NT金沢の概要と歴史,NT金沢を開催運営する上で留意している点,及びNT金沢を通して得られた知見について述べ,そこから電子情報通信の技術者に求められる役割について考察する.

キーワード:NT金沢,技術系展示会,作ってみた,相互啓発,ものづくり文化

1.は じ め に

 筆者は有志の仲間とともに,2013年から「NT金沢」という技術系の展示会を6月下旬頃に毎年開催している(2020年のみコロナ禍のため中止)(図1,2).NT金沢は,電子工作を含めた,広く「自分で作ったもの」を持ち寄って展示し,それについて出展者や見学者を含む様々な人たちが「交流」する場となっており,コロナ禍前の2019年には150組近い出展者が,金沢や北陸地区のみならず全国各地から集まった.会場は2014年から金沢駅に直結する地下イベント広場で開催しており,このNT金沢に見学に来た人のみならず,たまたま通り掛かった人が立ち寄ることが多いのも大きな特徴である.またこのNT金沢をきっかけとして,石川県内の加賀市,富山県富山市,福井県鯖江市,更には札幌や広島や熊本でも同様のNT○○が開催されるなど,このタイプの技術系展示会が広がりをみせている.

図1 NT金沢の会場の様子  2022年度はコロナ禍のためスペースを広くとっている.

図2 NT金沢2022の出展者  幅広い年齢層,ジャンルの人たちが集まる.


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