ジュニア会員のページ メディアアクセシビリティについて考える

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Vol.106 No.4 (2023/4) 目次へ

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ジュニア会員のページ メディアアクセシビリティについて考える Think about Media Accessibility 佐野雅規

佐野雅規 正員 日本放送協会放送技術研究所

Masanori SANO, Member (Science and Technology Research Laboratories, Japan Broadcasting Corporation, Tokyo, 157-8510 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.106 No.4 pp.326-330 2023年4月

©電子情報通信学会2023

Abstract

 2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標SDGsでは,「誰一人取り残さない」を原則として,社会の様々なところが変わろうとしています.2020年春に始まったコロナウイルスの流行をきっかけに,テレビで手話通訳を見かけることが多くなりました.東京オリンピック・パラリンピックの番組では,手話通訳者とろう者が連携して,ろう者による伝わりやすい手話が番組につくなど,メディアへのアクセシビリティについても様々な挑戦が行われています.本稿では,中学生から高校生の読者に向けて,これまで放送局の研究所として進めてきた取組みを紹介し,今後のアクセシビリティのあり方を一緒に考えていくきっかけを提供したいと思います.

キーワード:アクセシビリティ,字幕放送,解説放送,手話放送

1.は じ め に

 皆さんは「アクセシビリティ」という言葉を聞いたことがありますか? 本稿では「メディア」,その中でもテレビに関するアクセシビリティについて紹介します.アクセシビリティという言葉を検索してみると「近づきやすさ」「接近できること」といった説明が多いと思います.でも,一体何に近づくのでしょう? テレビに近づきやすいのかということでしょうか? いいえ,そうではありません.近づく相手は「情報」ということになります.

 世の中には,目や耳が不自由な方,子供や高齢な方,外国人など,様々な人がいます.このような人々に,テレビで発信している情報はしっかり届いているのでしょうか? もし届きにくい状態があれば,それらを改善していく必要があります.この部分がメディアアクセシビリティを考えるということになります.次章からは,聴覚や視覚に障がいがある方にも情報を届けるために,技術的にどんなサポートができるのか,NHK放送技術研究所で取り組んできたメディアアクセシビリティについて紹介しながら,一緒に考えていきましょう.

2.聴覚障がい者のサポート

 耳が聞こえない人,聞こえにくい人に情報を伝える方法には,どんなものがあるでしょう? 紙に書く(筆談と言います),ゆっくり大きく動かした口の動きを読み取ってもらう(読話と言います),また,空中に文字を書く(空書きと言います)という方法も利用できます.では,テレビの場合はどうしたらよいでしょう? そうです「字幕」という,番組の音声を文字に変換して画面に表示させる仕組みがあります.


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