特集 1-2 3GPPにおけるNon-terrestrial Networksの標準化動向

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Vol.106 No.5 (2023/5) 目次へ

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特集1-2 1.全体俯瞰/標準化状況
3GPPにおけるNon-terrestrial Networksの標準化動向
Standardization Trend on Non-terrestrial Networks in 3GPP
西尾昭彦 大内幹博

西尾昭彦 正員 パナソニックホールディングス株式会社テクノロジー本部

大内幹博 パナソニックホールディングス株式会社テクノロジー本部

Akihiko NISHIO, Member, and Mikihiro OUCHI, Nonmember (Technology Division, Panasonic Holdings Corporation, Moriguchi-shi, 570-8501 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.106 No.5 pp.364-369 2023年5月

©電子情報通信学会2023

abstract

 2030年以降の社会動向を踏まえてBeyond 5G/6Gへ向けた検討が開始されている.衛星やHAPS(High Altitude Platform Station)等を活用した非地上系ネットワーク(NTN: Non-terrestrial Networks)も含めた包括的なネットワークが求められる.一方,3GPPにおいては,5Gの高速・大容量・低遅延という基本性能の向上とともに,ユースケース拡大に向けた標準化が行われており,その一つにNTNへの対応がある.5G NTNの標準化は2017年に検討が開始され,2022年にNTNに対応したRelease 17仕様が発行された.本稿ではRAN(Radio Access Network)技術概要を中心に3GPPにおけるNTN標準化動向について述べる.

キーワード:3GPP,5G,NTN,衛星通信,HAPS

1.は じ め に

 近年,世界各国で5G商用サービスが開始され超高速・低遅延・大容量の無線通信ネットワークが実現されている.また,次の世代のシステムとして2030年以降の社会動向を踏まえBeyond 5G/6Gへ向けた検討が開始されており,要件や目標性能,求められる技術概要等が,企業・団体が発行した白書にまとめられている(1).多くの白書の中で,衛星やHAPS(用語)等を活用した非地上系ネットワークを活用し,へき地や上空,海上までカバレージを拡張した包括的ネットワークの必要性が言及されている.

 一方,国際標準化団体3GPPにおいてはRelease 15として5Gシステムの仕様策定を完了した後,超高信頼・低遅延など基本性能の向上や,産業IoTやV2Xなど各種産業用途へ向けた検討及び仕様策定を継続して行っている.その中で衛星通信やHAPSなどの非地上系通信(NTN: Non-terrestrial Networks)へ適用するための仕様策定が行われている.NTNにより航空機や船舶等への高速通信サービスや地上セルラシステムとのシームレスな通信環境の提供,緊急・災害時の通信環境の提供,へき地での環境計測等のIoT通信サービスの提供等が期待される.本稿では3GPPにおけるNTN標準化動向について述べる.

2.NTN標準化の概要

 5Gは様々な業界からの要求への対応が特徴の一つである.3GPPではSI(Study Item)で実現性検討を行った後,WI(Work Item)で仕様化作業を行い,仕様書がリリースされる.5Gの最初のリリースであるRelease 15以降,5Gの基本性能の向上や業界用途ごとの拡張が行われている.NTN標準化は衛星通信オペレータや衛星機器ベンダを中心に約50機関のサポートに基づき2017年7月にSIが開始された.


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