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航空機における機内インターネットサービスの提供の割合は年々増加している.更に小・中形航空機の新規需要と運行機数の増加に伴い,航空機に対して通信を提供する衛星通信の需要の増加も見込まれる.通信需要の増加に伴い周波数資源(特にKaバンド)の効率的な利用が求められ,航空機に搭載する衛星通信用アンテナの高性能化が必要とされている.情報通信研究機構では,航空機への搭載性を損なわず,開口サイズをスケーラブルに変更でき,広範囲のビーム走査を有するKaバンドの電子走査アレーアンテナの研究開発を実施し,周波数利用効率約33%の改善に成功したので報告する.
キーワード:電子走査アレーアンテナ,衛星通信,航空機,Kaバンド
非地上系ネットワーク(NTN: Non-terrestrial Networks)は静止軌道(GEO: Geostationary Orbit)衛星に加え,中軌道(MEO: Medium Earth Orbit)や低軌道(LEO: Low Earth Orbit)などの非静止衛星,高高度プラットホーム(HAPS: High Altitude Platform Station),(無人)航空機等を含む通信網であり,広域性や耐災害性といった特徴を有する.NTNにおいて,移動体に搭載するアンテナの柔軟性の向上が求められている.特にビーム走査性能やビーム形成に関して,従来の機械駆動形のアンテナでは実現が困難な高精度なビームを有するアンテナとして電子走査アレーアンテナ(AESA: Active Electronically Steered Array)に対する関心が高まっている.欧米をはじめとした各国のアンテナメーカや衛星通信機器メーカがKaバンドをはじめ,Q/Vバンドの周波数帯で衛星の軌道位置や運用状況に合わせ柔軟に対応できるアンテナの開発を進めている(1).
スマートフォンやタブレット端末の急速な普及に伴い,Wi-Fi通信を活用した航空機内インターネット接続サービスの普及が進んでいる(2).2020年10月に発表されたボーイング社のボーイング市場予測(Boeing Market Out-look, BMO)(3)によると,今後20年で小・中形航空機の需要がおよそ3万5,000機となると見込まれている.これらの航空機においてもブロードバンドサービスを提供するために,航空機向けの衛星通信需要が大きく増加することが想定される(4).
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