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本稿では,軌道ベース運航の実現に必要な,通信量の増加に対応する高速次世代航空通信システムとして,当研究所で研究開発活動を行い,国際民間航空機関で標準化された空港面航空移動通信システム(AeroMACS: Aeronautical Mobile Airport Communications System)について紹介する.
キーワード:国際民間航空機関,航空交通管制,運航管理通信,航空安全通信システム,AeroMACS, IEEE 802.16
国際民間航空機関(ICAO: International Civil Aviation Organization)の航空需要予測によると,2015年から2045年までの間に旅客キロ数が全世界平均で4.1%増加すると予測されている(1).我が国においても長期的な航空交通量の増加が見込まれており,2027年には2005年の1.5倍に達すると予測されている(2).これらの航空需要の増加に対応しつつ,安全かつ効率的な航空交通を実現するために,航空機の通過する場所と時刻を同時に管理できる新しい航空交通管理が必要と考えられている(3).
そのような新しい航空交通管理を導入するために運航に必要な情報を関係者間で共有することが必要である.特に航空機が多数集中する空港において,スポットの混雑や地上交通の渋滞が発生し,スポットの正確な状況,地上ハンドリングや機材繰りに関する状況,車両走行状況などの情報を共有し,航空機の離陸前及び着陸後の一元的な航空交通管理等を十分に行うことが必要とされる(2).離陸前から飛行中,着陸後までの航空機の位置や運航軌道の情報及び気象情報等を共有するための情報基盤の概念はSWIM(System Wide Information Management)と呼ばれ,標準化が行われている(4).しかし,航空機と地上施設間で用いる航空管制通信システムは最大31.5kbit/sと高速ではなく(5),運航に必要な情報を関係者間で共有するためには通信速度が不足している.
この問題に対し,欧米及びICAOにおいて次世代の空港面航空通信システムに関する検討が行われ,5GHz帯を利用する空港面航空移動通信システム(AeroMACS: Aeronautical Mobile Airport Communications System)の仕様がまとめられることとなった(6)~(10).当研究所では,AeroMACSの諸性能や問題点について検証するため,国際標準化活動に参画した.本稿では,2.にAeroMACSの概要を紹介し,3.でAeroMACSの実証実験結果を示し,最後に結論と今後の展望を示す.
本章では,AeroMACSの特徴,国際標準化の経緯,国際民間航空条約の附属書として定められる標準及び勧告方式(SARPs: Standards And Recommended Practices)をはじめとするAeroMACS規格の概要について紹介する.
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