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解説
私の数学勉強事始め
How to Continue to Learn Discrete Mathematics(In My Case)
A bstract
筆者の専門分野は理論計算機科学である.エンジニアの人には理論というと数学系と思われがちだが,本気の数学者と対面すると,ちょっと気後れするくらいの立ち位置であり,自分では「数学者の端くれ」くらいに思っている.数学といっても幅広く,筆者の得意分野はかなり限られている.例えば筆者がこれまで書いた論文を考えてみると,全ての論文には現れるがは1編しか書いたことがない.端的には離散数学は専門だが,連続数学にはどちらかと言えば苦手意識がある.そんな筆者が数学をどのように勉強してきたのか.何らかの参考になれば幸甚である.
キーワード:数学との出会い,読書遍歴,勉強方法,理学研究
正直に言うと,小学生の頃のことは余りよく覚えていない.物心がつくのが遅かったのか,平和過ぎて記憶に残っていないのか.算数は得意だったような気がするが,社会が苦手だった意識の方が強い.ただ,いろいろと考えることは好きだったようだ.
中学校,つまり算数から数学になった頃の思い出は一つある.あるとき,奇数を順に足すと面白い性質があることに気付いた.,,,,といった具合に,平方数が順に現れるという「発見」である.何か自分はすごいことを発見した気がして,数学の先生に質問しに行った.このときの先生が描いて説明してくれた図が図1である.今になってみると,先生としては「鮮やかな証明」の醍醐味を子供に教えたかったのかなぁと思わないでもないが,それは余り成功しなかった.筆者はどちらかと言えば,がっかりした覚えがある.恐らく当時の筆者は「発見の喜び」を共有したかったのだろう.教員というのはなかなか難しいものだ.
ところで当時は8ビットのパソコンが店頭に並び始めた時代である.非常に幸運なことに,筆者の家のそばに「タンディ・ラジオシャック」という店があり,TRS-80というBASICが動作するコンピュータが展示されていた.筆者はこれでBASICというプログラミング言語の存在を知り,本を買って勉強した.(当時,紙のノートに鉛筆でBASICのプログラムを書いていた覚えがある.なんと涙ぐましい….高校生になってPC-8001を買ってもらうまで,筆者のBASICプログラムは,全て紙に鉛筆書きであった.入力も実行もしなかったので,デバッグとも無縁であった!)そのプログラミングの中で,与えられた整数が奇数かどうかを判定する方法を,自力で思い付いた思い出がある.当時の除算は整数除算だったので,変数に対してが0であるか1であるかを調べれば,元のの偶奇が判定できることに風呂の中で気付いて興奮したことを,今でもよく覚えている.
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