解説 ナノメッシュ型次世代ウェアラブルデバイス

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 解説 

ナノメッシュ型次世代ウェアラブルデバイス

Nanomesh Devices toward Next-generation Wearable Electronics

李 成薫

李 成薫 国立研究開発法人理化学研究所開拓研究本部

Sunghoon LEE, Nonmember (Cluster for Pioneering Research, RIKEN, Wako-shi, 351-0198 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.106 No.1 pp.68-71 2024年1月

©2024電子情報通信学会

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 本稿では,次世代ウェアラブルデバイスとして皮膚に直接貼り付けて使用するパッチ型電子デバイスの技術的進展を紹介する.皮膚に貼り付けた際の機械的な負荷を劇的に減らした極薄電子デバイスと皮膚に長期間貼り付けても皮膚炎症を生じない通気性電極や本来の皮膚感覚に影響を与えない圧力センサなどナノメッシュ型電子デバイスを紹介する.

キーワード:ウェアラブルエレクトロニクス,スキンエレクトロニクス,フレキシブルエレクトロニクス,柔軟センサ

1.序     論

 近年,電子機器の高性能化と小形化が急速に進み,‘もの’のインターネット(Internet of Things)やウェアラブルデバイスを活用した生体信号の計測が可能になってきており,ウェアラブルデバイスのヘルスケア,医療,スポーツ,増強現実/仮想現実(AR/VR: Augmented Reality/Virtual Reality)など様々な分野への活用が期待されている.実際,スマートウォッチやスマートリングのウェアラブルデバイスを用いて,心電図,脈拍数,活動量,血中酸素飽和度などの生体情報を計測することができる.一方で,人の皮膚は一般的な電子機器と異なる機械特性を持っている.皮膚は立体的な曲面構造を持ち,また柔らかいため,外部からの力,若しくは体の動きによって形状が変わる.そのため,ウェアラブルデバイスを装着した際に皮膚とデバイス間の機械特性の違いによって生じる影響を減らすために,ゴムやプラスチックのように柔らかい素材を活用した電子デバイスが提案されている.本稿では,次世代ウェアラブルデバイスとして,非常に柔らかい電子素材を活用し,皮膚に直接貼り付けて使用できるスキンエレクトロニクスを紹介する.極薄基板の上に電子デバイスを作製することで,電子デバイスの柔らかさを劇的に向上した極薄有機トランジスタと極薄有機発光素子を紹介する.また,ナノサイズのメッシュ構造を使用することで,電子デバイスに通気性を与え,長期間皮膚に貼り付けた際の生体適合性を改善したナノメッシュ電極を紹介する.更に,皮膚に貼り付けても皮膚本来の感覚に影響を与えない圧力センサなどのナノメッシュ型物理センサの実証例を紹介する.


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