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モビリティの最新技術と今後の展望
2.
コネクティッドカーの本格普及に必要なICT基盤の検証
Evaluation of Infrastructure Technologies for Large-scale Connected Car Data
トヨタ自動車とNTTグループは,将来のコネクティッドカー社会を見越した大規模データ分散処理基盤の技術開発を2017年頃から進めてきた.コネクティッドカーの普及が急速に進む中,車両から得られる,制御データ(CANデータ),動画像データ,センサデータなどの大規模データを有効活用することで,より安心安全で効率的な移動を実現し,脱炭素社会の実現に貢献することができる.ただし,コネクティッドカーの大量データを処理する技術には多くの課題が存在する.本稿では,大量データを処理するために必要なICTの基盤技術について,データ量,リアルタイム性,精度の視点から技術開発と検証を行い,課題を明確にする.
キーワード:コネクティッドカー,エッジコンピューティング,自己位置推定,リアルタイム処理
コネクティッドカーから得られるCANデータ,センサデータ,画像データなど各種データの量は,コネクティッドカーの台数の急速な増大に合わせて膨大なものとなっており,それらデータを効率的に,かつ高速に処理することが大規模コネクティッドカープラットホームの将来的な活用に対しての大きな技術課題となっている.
コネクティッドカーには,その独自の特徴である「モバイル網を使った通信が必要であること」,「高速に移動するデバイスであること」,「車両のライフサイクルが長いこと」,「扱うデータ量が一日の中でも時間によって大きく変動すること」などにより,大規模データを様々なユースケースで活用するため,複雑かつ多くの技術課題が存在する.また,昨今では,SDV(用語)と呼ばれるソフトウェア中心で設計された車両開発が進んでおり,コネクティッドカーのデータをデータセンター側で処理するコネクティッドカープラットホームと車両との間で,より多くのデータがやり取りされるようになり,その重要性は増す一方である.
本稿では,その中でも,特に重要な要素技術となる,大規模データ処理,大量データのリアルタイム処理,データ処理の精度の三つの視点で達成目標を設定し,コネクティッドカーや自動運転技術に期待される様々なユースケースを実現するコネクティッドカープラットホームの実現に取り組んだ(図1).
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