特集 2. コネクティッドカーの本格普及に必要なICT基盤の検証

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.107 No.11 (2024/11) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


枠

モビリティの最新技術と今後の展望

特集

     2.

コネクティッドカーの本格普及に必要なICT基盤の検証

Evaluation of Infrastructure Technologies for Large-scale Connected Car Data

千葉 祐 高橋克徳 磯村 淳 高木 雅

区切り

千葉 祐 (株)NTTデータ第一インダストリ統括事業本部

高橋克徳 トヨタ自動車株式会社社会システムPF開発部

磯村 淳 NTT DevIces America Inc. Lead Field Application Engineering in Software

高木 雅 正員 NTTコミュニケーションズ株式会社イノベーションセンター

Yu CHIBA, Nonmember(First Industry Business Sector, NTT DATA Japan Corporation, Tokyo, 135-8671 Japan), Katsunori TAKAHASHI, Nonmember(Social System PF Development Div., TOYOTA Motor Corporation, Tokyo, 100-0004 Japan), Atsushi ISOMURA, Nonmember(Lead Field Application Engineering in Software, NTT DevIces America Inc., California, 95008 U.S.A.), and Masaru TAKAGI, Member(Innovation Center, NTT Communications Corporation, Tokyo, 108-0023 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.107 No.11 pp.1014-1020 2024年11月

©2024 電子情報通信学会

abstract

 トヨタ自動車とNTTグループは,将来のコネクティッドカー社会を見越した大規模データ分散処理基盤の技術開発を2017年頃から進めてきた.コネクティッドカーの普及が急速に進む中,車両から得られる,制御データ(CANデータ),動画像データ,センサデータなどの大規模データを有効活用することで,より安心安全で効率的な移動を実現し,脱炭素社会の実現に貢献することができる.ただし,コネクティッドカーの大量データを処理する技術には多くの課題が存在する.本稿では,大量データを処理するために必要なICTの基盤技術について,データ量,リアルタイム性,精度の視点から技術開発と検証を行い,課題を明確にする.

キーワード:コネクティッドカー,エッジコンピューティング,自己位置推定,リアルタイム処理

1.コネクティッドカーの特徴と技術課題

 コネクティッドカーから得られるCANデータ,センサデータ,画像データなど各種データの量は,コネクティッドカーの台数の急速な増大に合わせて膨大なものとなっており,それらデータを効率的に,かつ高速に処理することが大規模コネクティッドカープラットホームの将来的な活用に対しての大きな技術課題となっている.

1.1 コネクティッドカーの特徴

 コネクティッドカーには,その独自の特徴である「モバイル網を使った通信が必要であること」,「高速に移動するデバイスであること」,「車両のライフサイクルが長いこと」,「扱うデータ量が一日の中でも時間によって大きく変動すること」などにより,大規模データを様々なユースケースで活用するため,複雑かつ多くの技術課題が存在する.また,昨今では,SDV(用語)と呼ばれるソフトウェア中心で設計された車両開発が進んでおり,コネクティッドカーのデータをデータセンター側で処理するコネクティッドカープラットホームと車両との間で,より多くのデータがやり取りされるようになり,その重要性は増す一方である.

1.2 注力する技術課題

 本稿では,その中でも,特に重要な要素技術となる,大規模データ処理,大量データのリアルタイム処理,データ処理の精度の三つの視点で達成目標を設定し,コネクティッドカーや自動運転技術に期待される様々なユースケースを実現するコネクティッドカープラットホームの実現に取り組んだ(図1).

図1 技術テーマと目標設定  コネクティッドカーから得られるデータを有効活用するために必要な基盤技術と目標設定.


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録

  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。