特集 4-2 近年の自動運転用ライダセンサの発展とそのセキュリティについて

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Vol.107 No.11 (2024/11) 目次へ

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枠

4. センサ技術

特集

     4-2

近年の自動運転用ライダセンサの発展とそのセキュリティについて

Developments of LiDAR Sensors for Autonomous Driving and Its Security Properties

吉岡健太郎

区切り

吉岡健太郎 慶應義塾大学理工学部電気情報工学科

Kentaro YOSHIOKA, Nonmember (Faculty of Science and Technology, Keio University, Yokohama-shi, 223-8522 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.107 No.11 pp.1042-1050 2024年11月

©2024 電子情報通信学会

abstract

 本稿では自動運転における重要なセンサの一つであるライダに焦点を当て,その技術的進歩と「なりすまし」攻撃によるライダのぜい弱性の可能性の二つの重要な側面について取り上げる.また自動運転用ライダにおける主流の方式であるdirect Time of Flight(dToF)方式ライダの技術の進歩をレビューする.まず,自動運転車における車載ライダの重要性と,その要求される性能について探る.また,ハードウェアシステムの観点から,近年の「次世代」ライダの開発動向について議論する.そしてライダは自動運転にとって重要なセンサである一方で,ハッキングのターゲットにもなりやすい.ライダへの攻撃手法としては,センサへのレーザ照射により誤検知を誘発する攻撃手法が提案されており,ライダのセキュリティは重要な課題となっている.本稿ではライダセキュリティの最新の動向とその防御策について取り上げる.

キーワード:自動運転,3Dセンサ,ライダ,セキュリティ,センサ幻惑攻撃

1.イントロダクション

 人間は最新のハードウェアと比べても優秀なセンサや判断機構を持つ一方で時に信じられないほど幼稚なミスを犯してしまう.そしてそのようなミスは自動車の運転時に取り返しのつかない結果をもたらす.日本のみでも2021年における交通事故死亡者数は2,636人であり負傷者数は36万1,768人に上る(1).このようなミスをゼロにするのは不可能であるため,人間のミスをカバーするためにAdvanced Driver-Assistance Systems(ADAS)技術が発展してきた.SAEでは自動運転にはレベルが五つ設定されている(2).例えば2022年現在,自動ブレーキやレーンキーピングといったレベル0~1の自動運転は多くの市販車に搭載されている.またTesla社はレベル2の部分自動運転機能をリリースしており,国内メーカでも速度や使用箇所に限定はあるもののレベル3相当の自動運転機能を搭載した製品もある.このように時間をかけ人間ドライバから機械制御へ運転機能を任せようとしている.


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