特集 7-1 新しい日常を実現する,100kmを30分で移動する空飛ぶクルマのビジョン

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Vol.107 No.11 (2024/11) 目次へ

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7. モビリティの新展開

特集

     7-1

新しい日常を実現する,100kmを30分で移動する空飛ぶクルマのビジョン

The Vision of the Flying Car, Which Takes You 60 Miles in 30 Min., Enabling the Days of New Norm

中井 佑

区切り

中井 佑 テトラ・アビエーション株式会社

Tasuku NAKAI, Nonmember (teTra aviation corp., Minamisoma-shi, 975-0036 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.107 No.11 pp.1069-1074 2024年11月

©2024 電子情報通信学会

abstract

 コロナ禍を通じて普及が加速した移動を不要とするディジタルなライフスタイルは,日常を占める移動のコストを相対的に引き上げた.テトラ・アビエーションでは,大きな社会課題の遠因でもある,自動運転を実現するだけでは削減できない2時間以上の自動車移動の時間的・体力的コストを,現在のタクシーと同程度の価格の下で15分程度に削減しつつ,自由な時間と活力ある日常を創出することを目標に空飛ぶクルマを開発している.世界各国で開発されるeVTOLの持つ価値や市場を紹介しつつ,ルールメイキングの動向を追うことで,空飛ぶクルマのある日常が近づいたことを紹介する.

キーワード:空飛ぶクルマ,eVTOL,モビリティ,AAM,未来

1.は じ め に

 現代社会の「移動の持つ質的なコスト」は高い.コロナ禍を経て,在宅勤務が普及した後の2023年に開催された日本のモビリティーショーでアンケートを行った1,400人以上に調査した結果(図1),「2時間以上のドライブは60歳代までが限界だ」と考えている人が全世代の74%を占めていることが分かった.特に約37%は「50歳代が限界だ」と考えているようだ.ビジネスかプライベートかによらず,長時間運転の持つ価値やストレスは,かつてのモータリゼーションの時代とは大きく異なっている.

図1 「片道2時間以上の連続ドライブは何歳までできる?」という質問への回答

 私たちは,特に集中力を必要としストレスの大きくかかる,日本の山間部における片道2時間以上の移動という課題に取り組んでいる.酔い止めと自動運転に頼っても解消できない,体力的消耗,時間のマネジメントは,実は大きな社会課題の遠因だ.この解決を目指して,数ある手段の中でも「空飛ぶクルマ」を開発することを選択した.


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