小特集 3. 2.4GHz帯/5.7GHz帯WPTの社会実装に向けた挑戦

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Vol.107 No.12 (2024/12) 目次へ

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実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望

小特集 3.

2.4GHz帯/5.7GHz帯WPTの社会実装に向けた挑戦

Challenges for Social Implementation of 2.4GHz/5.7GHz Band WPT System

勝永浩史

勝永浩史 丸文株式会社ディオネカンパニー

Hiroshi KATSUNAGA, Nonmember (Dione Company, Marubun Corporation, Tokyo, 103-8577 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.107 No.12 pp.1130-1138 2024年12月

©2024 電子情報通信学会

Abstract

 マイクロ波を用いたWPTシステムは日本において内閣府が提唱するSociety 5.0の進展に大きく寄与する技術であると期待されている.サイバー空間とフィジカル空間をつなぐセンサのデータ収集,カバレージの拡大を実現するための電力供給の切り札として求められている.このような背景の下,2022年5月総務省から電波法施行規則等の一部を改正する省令が施行され,日本でのWPTシステムの実用化が可能となった.本稿では2.4GHz帯/5.7GHz帯WPTシステムの概要を示すとともに,社会実装に向けた取組みを紹介する.

キーワード:マイクロ波,ワイヤレス電力伝送,WPT,ワイヤレス給電,IoT

1.は じ め に

1.1 IoTデバイスの無線化(ワイヤレスIoT)要求

 我が国が目指すべき未来社会の姿として,第5期科学技術基本計画において,「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより,経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」としてSociety 5.0が提唱された(1).入力としてのセンサ,出力としての表示器及びアクチュエータが,サイバー空間とフィジカル空間の間を取り持つ役割を担うこととなる.これらセンサ,表示器,アクチュエータは近年IoT(Internet of Things)デバイスと呼ばれ注目を集めている.Society 5.0の実現には,多数のIoTデバイスを場所の制約なく設置できることが望まれる.つまりIoTデバイスの無線化はSociety 5.0実現の必要要件の一つである.

 IoTデバイスは以下の四つの機能で実現される.

IoTの目的機能(センサ,ディスプレイ,モータ等)

制御機能(MCU: Micro Controller Unit)

インターネットに接続するための通信機能

動力源としての電源

 更に,IoTデバイスを無線化するためには,以下が求められる.

センサ,ディスプレイ等の低消費電力化

MCUの低消費電力化

通信機能の無線化

電源の無線化

 ここで,ボトルネックは電源の無線化である.

 電源の無線化を実現するための方法は幾つか考えられる.

一次電池の利用

二次電池若しくはキャパシタ等の蓄電素子+環境発電(Energy Harvesting)

二次電池若しくはキャパシタ等の蓄電素子+空間伝送方式WPT(Wireless Power Transfer)システム


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