小特集 6. Beyond 5G/6Gに向けたミリ波通信とWPTの融合研究

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Vol.107 No.12 (2024/12) 目次へ

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実用化が迫る空間伝送方式ワイヤレス電力伝送システムの進展と展望

小特集 6.

Beyond 5G/6Gに向けたミリ波通信とWPTの融合研究

Study on Cooperation between mm-wave Data Transmission and WPT for Beyond 5G/6G

長谷川直輝

長谷川直輝 正員 ソフトバンク株式会社基盤技術研究室

Naoki HASEGAWA, Member (Technology Research Laboratory, SoftBank Corp., Tokyo, 135-0064 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.107 No.12 pp.1152-1156 2024年12月

©2024 電子情報通信学会

Abstract

 本稿では,モバイル通信とワイヤレス電力伝送(WPT)の融合について,その実現に向けた研究開発を紹介する.IoT・センサデバイスの普及に伴う電源供給の課題に対する解決策として,B5G/6GへのWPT機能のアドイン方法やシステム設計について説明する.また,既存通信システムとの親和性向上のためOFDM及びTDDのシステムに基づいた通信とWPTの融合システムについての検討や,実装方法について説明する.通信とWPTの融合は,B5G/6Gにおけるモバイルシステムの新たな産業応用を提案し,電力供給の仕組みを大きく変える可能性を持つものである.

キーワード:ワイヤレス電力伝送,Beyond 5G/6G,OFDM-WPT,通信とWPTの融合

1.は じ め に

 携帯電話・スマートフォンの普及とともに回線契約は家庭単位から端末単位へと変化した.通信回線の無線化・モバイル化はコミュニケーション速度や利便性を向上させ,我々の社会に大きな変革をもたらした.一方,電気契約はいまだに家庭単位であり,有線での供給にとどまっている.Society5.0やDXなどの社会実装の進展により,センサ・IoTデバイス数は大きく増加することが予測される.近年では,5G(第5世代移動通信システム)の整備により膨大なトラヒックを処理できる通信インフラが構築されつつあるが,デバイスに対する電力供給方法に関して大きな課題が残されている.デバイス数の増加に耐え得る通信インフラを構築するためには,バッテリー交換や充電といったコストのかかる電力供給方法を簡易化していくことは必要不可欠である.

 電力利用のモバイル化は膨大な数のデバイスを所有・管理する上で重要となる仕組みとなり得る.電力利用のモバイル化では,これまでと全く異なる新たな仕組みが必要である(図1).具体的には,「端末単位」で電力利用状況・料金などが管理されるシステム,皆が給電システムを「共有」するシステム,ワイヤレス電力伝送(WPT: Wireless Power Transfer)などの技術を用いて給電スポットに「自動接続」されるようなシステムである.Beyond 5G(B5G)/6G(第6世代移動通信システム)にこのような仕組みを組み込むことにより,日々の電池交換や充電といったコストから解放される未来がやってくる.個人や一事業者が,膨大な数のデバイスを管理することが可能な社会を実現するためにも,電力給電のワイヤレス化・モバイル化は重要なテーマである.情報のみではなく電力に対してもワイヤレス化を行うことで完全ワイヤレス社会の実現が期待される.

図1 電気利用のモバイル化概要  モバイル通信と空間伝送方式WPTの融合により新たな電気利用の仕組みを創出.


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