小特集 2. コネクテッド(V2X)技術の最新動向

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.107 No.2 (2024/2) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


自動運転を支える情報技術の最新動向

小特集 2.

コネクテッド(V2X)技術の最新動向

Latest Trends of Connected-car(V2X)Technology

熱田 隆

熱田 隆 正員 (株)モバイルテクノ無線技術研究部

Ryu ATSUTA, Member (Wireless Technology Research Department, Mobile Techno Corp., Kawasaki-shi, 211-8588 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.107 No.2 pp.114-119 2024年2月

©2024電子情報通信学会

Abstract

 5GAA(The 5G Automotive Association)及び3GPPにおいて,次世代通信(Beyond-5G/6G)のV2X(Vehicle to Everything)への適用が議論されている.5GAAにおいてはV2Xユースケースが検討され,3GPPにおいてはC-V2X(Cellular-V2X)の技術標準化が進められている.また,IEEEにおいて無線LAN(Local Area Network)をベースとしたNGV(Next Generation Vehicular Communication)の標準化が完了し,自動運転実現のための無線通信規格として期待されている.本稿では,これらV2Xユースケース及び技術標準化動向について解説する.

キーワード:コネクテッド,無線通信規格,V2Xユースケース,自動運転,運転支援

1.は じ め に

 ライダ(LiDAR: Light Detection And Ranging)やHD(High Definition)センサ等を用いた高精度なセンシング技術の発展により,自動車の利便性及び安全性が向上している.センシングによる運転支援は,自車両に搭載されたライダやHDセンサの検出情報を使用するため,適用範囲は自車両の見通し内に限られる.自動車による事故ゼロの社会に向け,より高度な運転支援及び自動運転を実現するため,他車両やインフラと情報共有するコネクテッド技術が不可欠となる.自動車が移動体であることから情報共有には無線通信が必須となるため,他車両との通信(V2V: Vehicle-to-Vehicle),路側機等のインフラとの通信(V2I: Vehicle-to-Infrastructure),セルラネットワークとの通信(V2N: Vehicle-to-Network),歩行者との通信(V2P: Vehicle-to-Pedestrian)を総称したV2X(Vehicle-to-Everything)技術の標準化が進められている.

 V2X技術の標準化は,3GPP及びIEEEにおける無線通信技術の標準化(1)(6)と,5GAAにおけるV2Xを活用した運転支援及び自動運転のユースケースを想定した通信要件の定義(7)(10)が並行して進められている.5GAAにおいて定義されたユースケースは3GPPにインプットされ,3GPPにおけるV2Xサービス実現のためのネットワークスライシングによるQoS制御等の技術検討(4)に活用されている.一方,IEEEにおいては,DSRC(Dedicated Short Range Communications)の無線通信規格に採用されているIEEE 802.11p(5)の後継規格として,IEEE 802.11bd(6)(NGV: Next Generation Vehicular Communication)が標準化され,高い信頼性が求められるV2X技術への適用が進められている.

 本稿では,コネクテッド(V2X)技術の最新動向として,5GAA/3GPP/IEEEの動向を解説する.2.では5GAAの自動運転に関わるユースケース,各ユースケースの導入時期及び通信要件を解説する.3.では3GPPにおいて標準化されているネットワークスライシングによるQoS制御を解説する.4.ではIEEEにおいて標準化されたIEEE 802.11bdの要素技術を解説する.


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録

  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。