小特集 3. 自動運転を支えるセンシング技術の最新動向

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自動運転を支える情報技術の最新動向

小特集 3.

自動運転を支えるセンシング技術の最新動向

Latest Trends in Sensing Technologies Supporting Automated Driving

伊東敏夫

伊東敏夫 正員 芝浦工業大学SIT総合研究所

Toshio ITO, Member (SIT Research Laboratories, Shibaura Institute of Technology, Tokyo, 135-8548 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.107 No.2 pp.120-126 2024年2月

©2024電子情報通信学会

Abstract

 自律走行の自動運転を実現するための外界センサの役割は,自車の自己位置推定と,自車と他交通環境との相対位置関係の検知,そして,障害物の認識である.GPS/GNSSの実用化とレーダ,ライダ,カメラ等の車載外界センサの技術開発が,現在の高度自動運転の実現に大いに貢献している.これまで自動運転レベル2以下の商用化システムに用いられる外界センサは,ミリ波レーダ,車載カメラ(単眼,ステレオ),超音波センサだった.今後実用化を目指すレベル3以上のシステムでは,ライダの使用が有望視されている.ここでは,ミリ波レーダ,ライダ,単眼カメラ,ステレオカメラの最新動向とアセスメント等を紹介する.

キーワード:ミリ波レーダ,ライダ,車載単眼カメラ,車載ステレオカメラ

1.は じ め に

 自動運転車に用いられるセンサは,車両自身の状態を検知するための内界センサと,車両外の環境の状態を検知するための外界センサに大別できる.ここで紹介するセンサは,後者の外界センサである.

 自動運転を実現するための外界センサの役割は,自車の自己位置推定と,自車と他交通環境(道路,ガードレール,他車両,歩行者等)との相対位置関係の検知,そして,障害物の認識である.古くは,道路に埋蔵した磁気発生装置(磁気ネイル等)を検出することによって,自車の自己位置と他車との相対位置を検出することが試みられていた.その後,GPS/GNSSの実用化とレーダ,ライダ(LiDAR: Light Detection And Ranging),カメラ等の車載外界センサの技術開発により,これら外界センサを搭載して自律的に外界環境を検知できるようになったことが,現在の自動運転の実現に大いに貢献したといえる.

 自動運転レベル2までの商用化システムに用いられる外界センサは,ミリ波レーダ,車載カメラ(単眼,ステレオ),超音波センサである.また,今後実用化を目指しているレベル3以上のシステムでは,ライダの使用が有望視されている.したがって,ここでは,ミリ波レーダ,ライダ,単眼カメラ,ステレオカメラの最新動向と,センシング性能を評価するアセスメント等を紹介する.

2.ミリ波レーダ

2.1 ミリ波レーダの現状

 現在のレベル2までのシステムは,いわゆる先進運転支援システムADAS(Advanced Driver Assistance System)と呼ばれ,高速道路で先行車との車間距離を制御しながら定速走行を行うACC(Adaptive Cruise Control)を中心に発展した.ACCを成功させた外界センサがミリ波レーダである.

 ミリ波レーダとは,電波の波長が1~10mmとなり,周波数が30~300GHz帯域となるレーダである.自動車用として電波法で認められているものは,24GHzと76GHzの2種類で,帯域の高い方が検出距離は長く,ACCには76GHzのものが適用されている.


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