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解説
放送と通信を融合する多重化方式とゲートウェイの研究開発
Research and Development of a Multiplexing Method and a Gateway That Integrates Broadcasting and Communications Technology
A bstract
総務省の周波数ひっ迫対策技術試験事務において,新たな放送と通信の連携技術の取組みが進んでいる.NHKでは通信分野で採用されているメディア形式を放送においても伝送できる技術仕様を検討し,また,放送と通信のシームレスな映像コンテンツの遷移や多様な端末での視聴を可能とするゲートウェイの基本設計を検討している.技術試験事務においては,上記の設計に基づく試作システムを活用した将来のサービス例として,パーソナライズなコンテンツ差し替えや放送と360度映像の同期提示などを検証した.本稿では,これら新たな放送と通信の連携技術の取組みについて解説する.
キーワード:地上放送高度化,放送通信連携技術,メディア伝送フォーマット,放送受信アーキテクチャ
筆者らは地上放送の高度化に向けて,インターネットやWeb技術との親和性を高めることを目指した放送通信融合アーキテクチャの検討を進めている.高度化に向けては,4K対応などに加え,放送と通信の連携による新たなサービスへの対応も検討課題として取り上げられている(1).放送と通信の互いの長所を生かすことで,放送の安定した番組提供をベースに,通信を活用して個人に特化したサービス提供などの利便性を加えることができる.
その放送通信融合アーキテクチャの放送方式としてCMAF/MMT方式(2),受信システムにゲートウェイを提案している(3).CMAF/MMT方式はネット動画像配信向けのメディア形式CMAF(Common Media Application Format)(4)を放送方式のMMT(MPEG Media Transport)(5)に多重化する方式である.ゲートウェイは放送コンテンツをブラウザ用アプリで再生するための仕組みであり,MMTで伝送されたCMAFコンテンツをブラウザ用のデータ転送プロトコルHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)で視聴端末に配信する役割を持つ.これらの技術を組み合わせることで,放送コンテンツをテレビ以外の端末で視聴できるようになり,また,コンテンツのシームレス切換や同期提示などのユースケースに放送を活用することができる.
海外の放送通信連携分野の動向として各地域の規格である米国ATSC3.0(Advanced Television Systems Committee standards 3.0)と欧州DVB(Digital Video Broadcasting)について紹介する.
二つの規格において,放送にネット動画像配信方式であるMPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)(6)を多重化する規格が策定されている.昨今では放送局が放送で提供するコンテンツをネットにも展開することは一般的であり,放送と通信におけるメディア形式の共通化は送出時のトランスコード処理をまとめることができるためコストの低減が期待できる.また,放送で受信した映像・音声データを通信プロトコルで伝送可能にするための受信システムの仕様も規格化されている.これにより,映像コンテンツの視聴端末として広く普及しているスマートフォンに対して放送コンテンツを提供できるようになる.更に現在のスマートフォンはサービス提供のために高度なソフトウェアアプリケーションの実装もできるため,放送コンテンツを使ったサービスの多様性を広げることも期待できる.
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