小特集 4. 航空交通行政を支える博士

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博士の進路

小特集 4.

航空交通行政を支える博士

A Researcher in the Field of Civil Aviation

長縄潤一

長縄潤一 正員 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所電子航法研究所監視通信領域

Junichi NAGANAWA, Member (Electronic Navigation Research Institute, National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology, Chofu-shi, 182-0012 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.107 No.6 pp.504-506 2024年6月

©2024 電子情報通信学会

1.は じ め に

 筆者は大学院にて無線通信分野の研究に取り組んだ.博士論文のテーマはボディエリアネットワーク(またはウェアラブル端末)における電波伝搬であった.博士課程を修了したのちは国立研究開法人海上・港湾・航空技術研究所電子航法研究所(以下,当所)において航空機監視システムに関わる研究開発に取り組んできた.無線通信という意味では基礎部分が共通するが,応用対象を人体から航空機へ大幅に変更した.航空機監視システムは航空管制に必須の位置情報等を取得するもので,図1に示すような二次監視レーダが代表的である.現代の航空交通を支える極めて重要なインフラである.現在の仕事の魅力はそのような社会の重要なインフラに対して,基礎から実用化・国際標準化までの幅広いフェーズにおいて貢献できることだと考えている.本稿では,このような筆者が体験した就職活動と研究活動を述べる.

図1 二次監視レーダ

 本題に入る前に,当所について補足する.海上・港湾・航空技術研究所は国土交通省が所管する国立研究開発法人である.海上技術安全研究所,港湾空港技術研究所及び電子航法研究所の三つの研究所が統合して設立された.筆者の所属する電子航法研究所は航空交通管理(ATM: Air Traffic Management)とそれを支える通信,航法,監視(CNS: Communication, Navigation, Surveillance)技術などから成る航空交通システムに関する我が国唯一の研究機関である.我が国の航空管制は国土交通省航空局が実施しているため,当所は主に航空局の行政ニーズを踏まえた研究開発を実施している.例えば,航空局はレーダ等の航空機監視システムを全国で整備・運用しているが,安全性や信頼性の向上,交通量増大への対応,環境負荷低減に向けて機能追加や性能向上といった継続的な技術革新を進めている.これに貢献すべく,当所は新しいシステムや必要となる技術の開発・評価等を実施している.なお,前述した図1のレーダは当所の設備であり,実験用の航空機(図2)を有することも当所の特徴である.

図2 実験用航空機


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