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Abstract
インターネットやクラウド,5G, Wi-Fi,光ファイバなど,情報通信ネットワークに関連するキーワードは様々なものがあり,どこから手を付けて学習したらよいかが分かりにくい分野となっています.一方で,情報通信ネットワークは昨今のAIやIoTなどを支える重要な情報基盤でもあるため,その基本原理を理解しておくことは非常に重要です.本稿では高校生向けに実施している模擬講義の内容から幾つかのトピックをピックアップし,初学者でも分かるように,そして次にどのように学びを広げればよいかを解説していきます.
キーワード:情報通信ネットワーク,HTTP, DNS,通信トラヒック,5G
まず,皆さんが普段スマホを利用する際にインターネットに接続するアプリやゲームがどれくらいあるか想像してみてください.答えは,インターネット接続をわざとオフにしてから普段使っているアプリを起動してみると分かります.エラーが出て正常に動作しないものはインターネットに接続する必要があるということです.人間が四六時中スマホを眺めているのはいわゆるネット依存なので問題ではありますが,コンピュータシステムにとってインターネットはなくてはならない必須の機能であることが分かります.そして,このインターネットを実現している仕組みが本稿で扱っていく「情報通信ネットワーク」ということになります.
まず情報通信ネットワークという言葉の意味をひも解いていきましょう.ネットワークの部分はSNS(Social Networking Service)のNと同じことを意味しており,何かをつなげる仕組みを表します.この何かとはSNSの場合はそのサービス登録者が該当しますが,情報通信の場合はコンピュータが該当します.コンピュータとは身近なPCやスマホであったり,つなげることに特化した専用のコンピュータであるルータであったり,PCよりも高度な処理を行う大きくて高価なコンピュータであるサーバであったりします.皆さんがスマホで打ち込んだ文字や撮影した写真,または声やカメラの映像は「情報」です.この情報をコンピュータで構成された「ネットワーク」を介して今目の前にいない遠く離れた友人や家族に「通信」しているのがインターネットですので,この仕組みを情報通信ネットワークと呼ぶというわけです.
以降,身近なトピックを例にインターネット通信の基本的な仕組みから始まり,情報通信ネットワークの構成,通信トラヒックと呼ばれる概念,そして5Gに代表されるモバイル通信について解説を行っていきます.必ずしも順番に読む必要はなく気になる章を読んで頂いても大丈夫です.まずは興味がある部分を分かった気になり,情報通信をより身近に感じて頂ければと思います.
まず誰もが使うWebブラウザの動作を例にしてインターネットによる情報通信の基本的な仕組みを解説していきます.なお,インターネットによる情報通信という言い方をしたのは,世の中にはインターネットではない情報通信ネットワークも存在するということを意味しています.これに関しては3.でお話します.また,Webブラウザとは皆さんがインターネットで何かを検索するときに起動しているアプリのことです.例えば4色の渦のようなアイコンのGoogle Chromeや方位磁石のようなアイコンのSafariなどが代表的なWebブラウザです.
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