ニュース解説 伝搬する電磁波の論理量子ビットの実現――大規模誤り耐性型光量子計算に向けて――

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Vol.107 No.6 (2024/6) 目次へ

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最近の新聞等で報道された技術情報を深める ニュース解説

◆今月のニュース解説

伝搬する電磁波の論理量子ビットの実現

 ――大規模誤り耐性型光量子計算に向けて――

 Realization of Logical Qubit in Propagating Electromagnetic Wave: Toward Large-scale Fault-tolerant Optical Quantum Computation

ドローンを安心・安全に制御する通信技術

 ――携帯電話のつながらない山中や海上でのドローンの利活用に向けて――

 Communication Technology for Controlling Drones Safely and Securely: Toward the Use of Drones in the Mountains and at Sea, Where Mobile Phones Are Not Available

伝搬する電磁波の論理量子ビットの実現

――大規模誤り耐性型光量子計算に向けて――

 国立大学法人東京大学大学院工学系研究科,国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)及び,その他三つの国内外の研究機関の共同研究で論理量子ビットであるGottesman-Kitaev-Preskill量子ビット(以下,GKP量子ビット)を光のシステムで初めて生成に成功した.この成果は,光を用いた量子コンピュータを大きく前進させた.

 光量子コンピュータは大規模化にいち早く成功した.光がもつ時間や周波数などの自由度を駆使して,非常に少ない光学素子で,大規模汎用光量子コンピュータの実証実験が行われている.光量子コンピュータの開発の大きな課題はいかにして誤り訂正を実現するかというところにある.通常の量子ビットは2準位系であるため,誤り訂正に必要な冗長性は複数の量子ビットを用いて一つの「論理量子ビット」を構成する必要がある.一方,光では一つの光パルスに複数の光子を符号化することで,論理量子ビットを一つの光パルスで構成できる.しかし,論理量子ビットの生成に必要な非線形性は光の系では非常に弱い.この問題は,光を光子数識別器で測定することで解決することができ,今回のGKP量子ビットの実現はNICTが提供した超伝導ナノストリップ光子検出器を用いて実験を行った.超伝導システムやイオントラップのシステムではそれぞれ特有の非線形性を用いてGKP量子ビットが過去に生成されたが,それらの系では光と違って大規模化や高速化の課題は未解決である.


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