小特集 Beyond 5G時代を支える光ネットワークの技術動向と展望 小特集編集にあたって

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Vol.107 No.8 (2024/8) 目次へ

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小特集

Beyond 5G時代を支える光ネットワークの技術動向と展望

小特集編集にあたって

編集チームリーダー 中川雅弘

 移動通信システムは,世代を重ねる中で,我々の暮らしに欠かせない基盤へと進化してきた.現在世界各国で導入が進んでいる第5世代移動通信システム(5G)の次の世代であるBeyond 5Gは,サイバー空間と現実世界(フィジカル空間)を一体化させ,Society 5.0実現を支えるインフラとして中核的な役割を担うことが期待されている.

 Beyond 5Gの社会実装に向けては,サイバー空間とフィジカル空間との間での情報授受の急増が容易に見込まれることから,インフラのバックボーンとなる光ネットワークの更なる進化が重要となる.我が国では1980年代に光ファイバ通信が導入され,以降着実な発展を遂げてきている.しかしながら前述のBeyond 5Gへの期待に代表されるように,昨今,光ネットワークを取り巻く環境の変化は目覚ましく,それらに応える次なる技術進化が強く求められているわけである.

 本小特集では,Beyond 5G時代の社会像とBeyond 5G実現に向けて光ネットワーク技術の貢献が期待される領域に注目し,様々な観点から最新動向を解説する.また,今後への期待を含めた将来展望について議論する.

 前半は主にBeyond 5G時代の社会像や世界観に焦点を当てる.第1章では,Beyond 5Gの導入が想定される2030年代の未来イメージ・生活シーンを御解説頂く.NICTの石津氏から,夢の未来生活を御紹介頂き,Beyond 5Gが担うプラットホームとしての役割と国内外の具体的な動向について述べて頂く.第2章では,2040年頃まで見据えた社会インフラ像を御解説頂く.電力中研の池田氏から,通信事業だけでなく電気事業も考慮した,持続可能でレジリエントなインフラ実現に向けた取組みの方向性を御紹介頂く.第3章では,Beyond 5G時代の革新アプリケーション例について御解説頂く.KDDI総合研究所の野中氏らから,ユーザ体験改善や社会課題解決への寄与が期待されるホログラフィーについて御紹介頂き,技術課題や研究開発動向について述べて頂く.

 後半は主に光ネットワークの要素技術に焦点を当てる.第4章では,光ネットワークの運用高度化について御解説頂く.NECの小林氏らから,光ネットワークの自律運用に資する光伝送パラメータ推定及びシステム異常検知・原因箇所推定へのAI/機械学習の適用について御紹介頂き,関連動向について述べて頂く.第5章では,光ネットワークの超高速・大容量化に資する帯域拡張光ノード技術について御解説頂く.富士通の田中氏らから,ノードを構成する上でキーとなる三つの技術(波長帯一括変換,帯域拡張光デバイス,帯域拡張光源・光増幅)の研究開発動向を御紹介頂く.第6章では,光ネットワークの利用効率向上を省電力かつ省スペースに実現する波長変換・フォーマット変換技術について御解説頂く.NTTの山崎氏らから,二つの技術課題(低電力ディジタル信号処理,フロントエンド)の研究開発動向を御紹介頂く.第7章では,通信媒体の進化に資する光ファイバ技術について御解説頂く.古河電工の武笠氏から,光ファイバの高性能化(超低損失化,曲げ耐性と性能の両立,高密度化)について述べて頂き,様々なポテンシャルを持つ空孔コアファイバについても御紹介頂く.

 最後に,御多忙な中,執筆に御尽力頂いた執筆者の皆様に深く感謝申し上げます.また,小特集編集チーム並びに学会事務局の皆様には本小特集の校閲・編集作業に多大な御協力を頂きました.この場をお借りして御礼申し上げます.

小特集編集チーム

 中川 雅弘  丸田 一輝  衣斐 信介  青山 哲也  朝倉 慎悟  伊神 皓生  岩井 誠人  影井 敬義  片田 寛志  金 ミンソク 西岡 隼也  西村  徹  羽賀  望  平賀  健  水野 頌子  宮下 真行  村中 延之  森 洋二郎


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