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Beyond 5G時代を支える光ネットワークの技術動向と展望
小特集 3.
Beyond 5G時代を見据えたホログラフィー通信の実用化に向けた研究開発
An Research for Practical Application of Holography Communications toward Beyond 5G Era
Abstract
Beyond 5G及びそれを支える光ネットワークにより高度化した通信網により,ユーザ体験の改善や社会課題解決が期待される.立体映像技術ホログラフィーと通信を組み合わせたホログラフィー通信は,新たな遠隔コミュニケーションや教育,立体映像情報提示などに活用可能な技術であり,Beyond 5Gにおける一つの中心的アプリケーションとなり得る.ホログラフィー通信では通信網や光ネットワークの大容量化に加えて,再生技術やデータの圧縮技術が重要となる.本稿では,ホログラフィー通信の技術課題や研究開発動向として当該再生・圧縮技術について解説する.
キーワード:ホログラフィー,立体映像,計算機合成ホログラム,物体光
次世代情報通信インフラであるBeyond 5Gは,「超高速・大容量」,「超低遅延」,「超同時多接続」などの5Gの特徴的機能の更なる高度化を目指すとされている(1).これらの通信網を生かすことで,ユーザの生活様式の変化や社会課題の解決が期待される.なかでも筆者らは,Beyond 5Gを用いることでもたらされる新たなユーザ体験として,立体映像技術ホログラフィーを用いた映像体験の実現を目指した研究開発を行っている.ホログラフィーと通信を組み合わせることで実現される臨場感の高い映像体験(以下,ホログラフィー通信)により,これまでにない臨場感のある遠隔コミュニケーションや遠隔教育,立体映像情報提示といった新たな映像利用及びそれによるユーザの生活様式などの変化が期待される.一方で,このようなホログラフィー通信の実用的なユースケースでの利用を想定すると,従来の映像に比べて非常に大きなデータ量を伝送する必要があるため,Beyond 5Gの通信網やそれを支える光ネットワークの大容量化が極めて重要であると同時に,データの圧縮技術や再生技術も必要となる.本稿では,Beyond 5G時代に実現が期待されるアプリケーションの一つであるホログラフィー通信の概要や技術課題を解説するとともに,ホログラフィーの圧縮伝送及び再生技術の研究開発の動向について述べる.
ホログラフィーとは,実空間において目に届く光の波を再現することで「あたかも実物がそこにあるかのように見える」立体映像表示を可能とする技術であり,「究極の立体映像技術」とも呼ばれている.物体からの光を再現する性質から,眼鏡などのデバイス着用を伴わない裸眼立体映像鑑賞も可能である.また,ホログラフィーは人間の立体知覚の4要因(両眼視差(用語)・運動視差(用語)・ふくそう(用語)・焦点調節)を全て満たす技術とされており,従来の立体映像技術とは異なり,「ふくそう調節矛盾(鑑賞者の得る奥行感と実際のディスプレイ面との距離情報に矛盾が生じること)が起こらない」という特徴から,眼精疲労や不快感などの鑑賞者の身体的負担の少ない映像技術としても期待されている(2).上記を代表例として,ホログラフィーは従来の立体映像にはない長所を備えており,当該立体映像によってもたらされるユーザ観点のメリットは以下のとおりである.
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