小特集 6. Beyond 5G超高速・大容量ネットワークを実現する小形低電力波長変換・フォーマット変換技術

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Beyond 5G時代を支える光ネットワークの技術動向と展望

小特集 6.

Beyond 5G超高速・大容量ネットワークを実現する小形低電力波長変換・フォーマット変換技術

Compact and Energy-efficient Wavelength/Format Conversion Technologies for Beyond 5G Ultra-high-speed and High-capacity Networks

山崎悦史 石井健二 立野翔真 須藤 充 坂巻陽平 丸山 遼

山崎悦史 正員 日本電信電話株式会社NTTデバイスイノベーションセンタ

石井健二 正員 三菱電機株式会社情報技術総合研究所

立野翔真 正員 日本電気株式会社アドバンストネットワーク研究所

須藤 充 富士通株式会社フォトニクスシステム事業本部

坂巻陽平 正員 NTTイノベーティブデバイス株式会社第一事業部

丸山 遼 日本電気株式会社ネットワークソリューション事業部門

Etsushi YAMAZAKI, Member (Device Innovation Center, NIPPON TELEGRAPH AND TELEPHONE CORPORATION, Yokosuka-shi, 239-0847 Japan), Kenji ISHII, Member (Information Technology R & D Center, Mitsubishi Electric Corporation, Kamakura-shi, 247-8501 Japan), Shoma TATENO, Member (Advanced Network Research Laboratories, NEC Corporation, Kawasaki-shi, 211-8666 Japan), Mitsuru SUTOU, Nonmember (Photonics System Business Unit, Fujitsu Limited, Oyama-shi, 323-8511 Japan), Youhei SAKAMAKI, Member (Co-Packaged Optics Business Group, NTT Innovative Devices, Atsugi-shi, 243-0198 Japan), and Ryo MARUYAMA, Nonmember (Network Solution Business Division, NEC Corporation, Abiko-shi, 270-1198 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.107 No.8 pp.787-795 2024年8月

©2024 電子情報通信学会

Abstract

 Beyond 5G時代の通信需要に対応するためには,光ネットワークの超高速・大容量化とともに,光ネットワークの波長資源を有効活用し,利用効率を向上できる波長変換・フォーマット変換技術が重要になる.本稿では,大容量光伝送システムに不可欠なディジタルコヒーレント光伝送技術を利用して,800Gbit/sの大容量波長パスを実現する小形・低電力な波長変換・フォーマット変換技術の研究開発状況について紹介する.現行技術と比較して,ビット当り1/10の小形化及び1/10の低電力化と,光伝送性能の確保も必要であり,性能と電力のトレードオフを解決する技術を目指す.

キーワード:波長変換,ディジタル,コヒーレント,CMOS回路

1.は じ め に

 Beyond 5G(B5G)は,2030年代の情報通信インフラであり,あらゆる産業や社会活動の基盤となる.従来の移動通信(無線)の延長上だけでなく,有線・無線や陸・海・空・宇宙等を包含した統合的なネットワークと考えられている(1).5Gの特長である「高速・大容量」,「低遅延」などの更なる高度化に加え,「超低消費電力」,「通信カバレージの拡張性」などの機能の実現が期待され,光伝送技術の進化も,重要な役割を担う.B5Gの超高速・大容量・超低消費電力の実現のために,バックボーン光ネットワーク基盤の進化が求められる.そのため,継続的な光ネットワークの高速・大容量化を軸としたこれまでの光通信技術に加え,光ネットワークの波長資源を有効活用し,その利用効率を向上する技術が求められる.

 我々は,800Gbit/sの大容量波長パスに対応した,光/電気/光変換を利用することで,柔軟かつ小形・低電力な波長変換及び変調方式,変調速度を変換するフォーマット変換機能の実現技術を目指している.図1にコヒーレント光送受信機の小形・低電力化の進展を示した.近年,ディジタルコヒーレントを用いた光送受信方式の標準化が進んでおり,OIF,Open ROADM,Open ZR+が400Gbit/s標準化を達成し,プラガブルモジュール実装のために小形・低電力化が進んでいる(2).ビット当りのエネルギーは対数スケールで低下しており,現行技術(既存100Gbit/s再生中継器)と比較して,ビット当り1/10の小形化及び1/10の低電力化を目標としている.本稿では,これら目標に対する小形波長変換・フォーマット変換向け低電力ディジタル信号処理技術及びフロントエンド技術の研究開発状況を紹介する.

図1 コヒーレント光送受信機の小形・低電力化の進展  約10年の間に電力効率が改善し,小形モジュール化が進む.


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