電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
© Copyright IEICE. All rights reserved.
|
電子素子は情報技術や通信技術等とともに飛躍的に発展し,今日では高度な生産技術により高性能のものが安価で提供されている.その反面,市販品を見ても仕組みを理解できず,ブラックボックスになっている.動作原理を理解するため,そのものを自分で作ってみることが有効であるが,多くの電子素子の場合はそれがかなり難しい.
しかし,歴史を遡ると初期の電子素子は比較的に簡単な方法で作られたことが分かる.特に,最も基本的な電子素子の一つであるダイオードは自作がそれほど難しくない種類がある.本稿では,単純なショットキーバリヤダイオードの作製方法を紹介する.
ダイオードには様々な種類と用途があるが,基本的な性質の一つは整流作用である.つまり,順方向と呼ばれている方向に電圧をかけたときは電流が流れるが,逆方向にかけたときは電流がほとんど流れない.例として,市販のダイオードにかけた電圧()を変えたときに流れる電流()のグラフ(曲線)を図1に示す.負の電圧のときは電流が測定できないほど小さい.小さい正の電圧をかけてもあるしきい値を超えるまでは電流が流れないが,順方向電圧のしきい値を超えると流れ始めて,更に電圧を上げると電流が指数関数的に増える.
広く使われているpn接合ダイオードでは,半導体(シリコン等)のドーピングが異なる二つの領域の界面で整流作用が起こる.半導体のドーピングには特殊な装置が必要で,個人で自作するのは難しい.一方,pn接合ダイオードより歴史が古い点接触ダイオード(ショットキーバリヤダイオードの一種類)は金属と半導体を接触するだけで作ることができる.ショットキーバリヤダイオードはpn接合ダイオードと比べて速いスイッチング速度,優れた高周波特性,小さい順方向電圧降下等の利点がある(1),(2).ちなみに,図1のゲルマニウムダイオードも点接触ダイオードで,写真をよく見てみるとゲルマニウム結晶と接触する金属のワイヤが見える.
ここでは,始めはダイオード的な特性を得やすいシリコンと金属の点接触ダイオードを作る方法を説明する.その後,文具のクリップや銅線やはんだなどの身近な材料でダイオードを作る方法を紹介する.
また,ここで使用している作製方法や評価方法,使用機器はあくまでも簡単に実験するためのもので,研究・開発・生産に必要な精密性や再現性を満たしていないことを御理解頂きたい.
続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。
電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。
電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード