ニュース解説 難病情報照会AIアプリケーション「RD-Finder」を開発――一般の人が簡単に難病情報にアクセス可能に――

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Vol.107 No.9 (2024/9) 目次へ

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最近の新聞等で報道された技術情報を深める ニュース解説

◆今月のニュース解説

難病情報照会AIアプリケーション「RD-Finder」を開発

 ――一般の人が簡単に難病情報にアクセス可能に――

 Development and Release of “RD-Finder,” an AI Application for Querying Information on Rare Diseases

ISSと可搬光地上局との間で情報理論的に安全な鍵共有に成功

 ――衛星―地上間QKD実現に向けたSeCRETS実験――

 Successful Demonstration of Information Theoretic-secure Key Agreement between ISS and Mobile Ground Station: SeCRETS Experiment toward Satellite-ground QKD

難病情報照会AIアプリケーション「RD-Finder」を開発

――一般の人が簡単に難病情報にアクセス可能に――

 京都大学医学研究科松田文彦教授と日本IBMなどは,難病の情報を照会するAIアプリケーション「Rare Disease-Finder(以下RD-Finder)」を共同開発した.このアプリケーションは,生成AI技術を活用し,複数の症状を入力することで難病の候補疾患と疾患関連情報を提示するものである(図1).

図1 RD-Finderの概要

 「RD-Finder」のシステムは,大きく分けて自然文による症状マッチング機能と,専門症状名をキーとして難病候補を提示する疾患情報検索機能の二つの機能を持つ.これらが連動し,利用者の自然文入力から難病候補や疾患関連情報を提示する(図2).

図2 難病情報検索の仕組み

 症状マッチング機能は,利用者が入力した症状に関する自然文を,生成AI技術(Azure OpenAI Serviceのgpt-3.5-turboを利用)を用いて英訳し,英訳されたテキストと入力されたテキストそのものをそれぞれAzure OpenAI Serviceのtext-embedding-ada-002モデルを利用してベクトル化する.その後,日本語と英語から出力したベクトルデータの算術平均を取り,事前に収集した専門症状名を,同モデルを用いてベクトル化して保存してあるデータベース内の各専門症状名ベクトルデータと比較し,コサイン類似度が高い症状名を返す.このようにエンベディングモデルを用いてベクトル化した症状名を利用することで,利用者の入力と専門症状名の意味的な近さを比較することを可能にし,同義語・類義語やあいまいな入力を考慮した症状マッチングを実現した.


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