解説 電子情報通信学会総合大会での保育支援

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Vol.108 No.10 (2025/10) 目次へ

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 解説 

電子情報通信学会総合大会での保育支援

Childcare Support at IEICE General Conference

荒川 薫 宮田純子 宮田高道 近藤 愛

荒川 薫 正員:フェロー 明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科

宮田純子 正員 東京科学大学工学院

宮田高道 正員 千葉工業大学先進工学部知能メディア工学科

近藤 愛 沖電気工業株式会社技術本部

Kaoru ARAKAWA, Fellow (School of Interdisciplinary Mathematical Sciences, Meiji University, Tokyo, 164-8525 Japan), Sumiko MIYATA, Member (School of Engineering, Institute of Science Tokyo, Tokyo, 152-8552 Japan), Takamichi MIYATA, Member (Faculty of Advanced Engineering, Chiba Institute of Technology, Narashino-shi, 275-0016 Japan), and Ai KONDOH, Nonmember (Technology Division, Oki Electric Industry Co., Ltd., Warabi-shi, 335-8510 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.108 No.10 pp.968-973 2025年10月

©2025 電子情報通信学会

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 電子情報通信学会では,男女共同参画委員会の活動の一環として,2006年3月の総合大会において会場に初めて託児室が設置された.その後,大会が開催中止またはオンライン開催されたとき以外は,毎年の総合大会等で託児室が設置され,大会参加者に利用されている.本稿では,本会の男女共同参画委員会についての簡単な紹介と,大会での託児室開設に至った経緯及びその利用状況について解説する.

キーワード:託児室,男女共同参画,大会

1.電子情報通信学会における託児室の開設について

1.1 電子情報通信学会男女共同参画委員会の発足

 2002年,理工学系研究組織での男女共同参画を目指し,男女共同参画学協会連絡会が発足した.本会もこの活動に賛同し,2003年,この連絡会に正式加盟するとともに,本会において男女共同参画委員会が発足した.発足時の委員会メンバは13名で,筆者(荒川)が委員長を務めた.記録によると,その当時の本会の女性会員数は,全体の2.3%とのことである.

 男女共同参画委員会では,この少ない女性会員が学会活動に参加しやすく,またその能力を十分発揮できるように学会の環境を整え,更に本会の女性会員を増やすことを目的とし,主に以下のような活動を行った.

 (1)現状の把握

 (2)情報発信と社会への働き掛け

 (3)会員増強

 (4)教育

 (1)では,アンケート調査を行い,本会及び職場や教育環境に関する男女共同参画の実態を調査した.(2)では,大会などで講演会を行ったり,アンケート集計結果を学会や社会に向けて発信した.(3)では,女子学生対象の講演会を行ったり,中高生に対して夏休み科学教室や講演会を行い,女子が電子情報通信工学の分野に興味を持って進学することを促した.(4)は(3)とも関連するが,女子学生や女子中高生対象に,講演会や授業を行った.

1.2 アンケート調査による託児室開設

 2003年,男女共同参画学協会連絡会は技術者・研究者の男女共同参画に関する実態を把握するためのアンケート調査を実施した.本会もこれに参加したが,連絡会は理学系の学協会が多いため,アンケート調査も理学系研究者を主な対象としたものになっていた.そこで,本会で必要な男女共同参画の施策を明らかにするために,2005年,本会の男女共同参画委員会で独自にアンケート調査を行った.本会の男性会員約900名と女性会員約100名が回答を行った.その当時,男女共同参画学協会連絡会で,学会の年次集会に託児室を設置するという話題が出ていたので,アンケートの中に「電子情報通信学会の総合大会やソサイエティ大会において,大会参加者のために子供の保育サービスを行ってほしいと思いますか?」という設問を設けたところ,図1のような回答が得られた.このように,特に女性会員は約6割が大会での保育サービスを期待していることが分かった.また,男女共同参画委員会の活動として期待することに,育児や家族の介護の問題を解決してほしいという回答が比較的多く見られた.そこで,男女共同参画委員会の活動として,大会の会場に託児室を開設することにした.他学会では,応用物理学会,日本化学会などで,このような託児室を設置していたのでその内容を参考にして,本会でも託児室利用規定を制定し,まず2006年3月の総合大会で託児室を開設することとした.

図1 「大会参加者のために子供の保育サービスを行ってほしいか?」という設問に対する回答分布


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