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9.
光応答性ペプチドナノファイバによる分子ロボティクス材料の創製
Creation of Materials for Molecular Robotics Using Photoresponsive Peptide Nanofibers
時空間制御可能な外部刺激である光に応答してナノファイバを形成・解離することができれば,刺激応答性を付与した分子ロボティクス材料を創製できる.本研究では,光開裂性ペプチド―DNAコンジュゲートによるペプチドナノファイバ形成の時空間制御により,走光性を有する分子ロボットを開発した.また,スピロピラン/メロシアニン修飾シート形成ペプチドの光異性化による可逆的なナノファイバを形成・解離を達成し,光によるリポソームの可逆的かつ劇的な形態変化に成功した.
キーワード:自己集合,光応答性,ペプチドナノファイバ,ジャイアントリポソーム
ナノメートルからマイクロメートルの階層で自己集合し,外部刺激に応答して自律的に動作する集合体を設計・制御する分子ロボティクスは,ソフトでしなやかな応答性を有する次世代のものづくり基盤として注目されている(1).従来のシリコンベースのデバイスでは,機械的要素と情報処理要素の統合は難しく,電気―機械変換や磁気―機械変換に依存せざるを得なかった.一方,分子ロボティクスでは,分子自体がセンサ,アクチュエータ,演算素子の機能を兼ね備え,光や化学エネルギーを分子レベルの構造変化や化学結合の再編成に直接変換し,それを自己集合体全体で協同的な運動,形態変化,物質輸送へと増幅できる点に大きな利点がある.この設計思想により,従来のマクロスケールの機械では達成困難だった高密度化・自己修復・環境適応・生体親和性を同時に実現することが期待される.
シート形成ペプチドは,疎水性・親水性アミノ酸残基が交互に配置されたシンプルな配列で構成され,水中でナノファイバを自発的に形成するため,分子ロボティクスのための材料の一つとして注目されている.
シート形成ペプチドから成るナノファイバは,幅は5~20nmであるが,長さは数µmに及び,更に遺伝暗号に制約されず非天然アミノ酸を導入できるため,光解離基・アゾベンゼン・スピロピラン/メロシアニンといった光スイッチユニットを自在に組み込むことが可能である.光照射により,ペプチド主鎖の切断・側鎖の極性変化・シス/トランス異性化などの構造変化が誘起され,ナノファイバの形成開始や伸長速度,解離のタイミングを時空間的に精密にプログラムできる(2).光は非接触性,低細胞毒性,波長・パルス幅・照射角の精密制御が可能で,ペプチドナノファイバとの相性が極めて良い.すなわち,「光入力―自己集合―機械応答―光出力」というフォトンイン・フォトンアウト型のフィードバック回路を単一材料系で構築できることが大きな魅力である.
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