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シリコンフォトニクスの産業展開と新応用
小特集 6.
三次元湾曲シリコン導波路技術による光ファイバ結合デバイス・ビームステアリングデバイス
Silicon Surface Optical Couplers Based on Three-dimensional Curved Waveguide
Abstract
シリコンフォトニクスはデータセンターを中心に市場導入が進んでおり,更なる普及に向けてはチップ外部との光信号の接続を担う光結合器の高性能化とその実装技術の高度化が不可欠である.我々は,シリコン導波路を三次元的に湾曲させた広帯域な表面光結合器「エレファントカップラ」を開発している.本稿では,これまで報告されている各種光結合技術を概観するとともに,光ファイバ結合に向けたエレファントカップラの開発状況と,本技術の応用例の一つである自由空間光信号伝送に向けたビームステアリングデバイスの取組みについて紹介する.
キーワード:シリコンフォトニクス,表面光結合器,広帯域結合,自由空間光信号伝送
クラウドサービスや生成AIの急速な普及をきっかけに,「光電融合」という言葉が一般ニュースでもよく取り上げられるようになった.光電融合は,光集積回路(PIC)と電子集積回路(EIC)をチップレベルで統合し,超高速かつ低消費電力な信号伝送を実現する次世代インフラ技術である(1).エネルギー制約の下,情報処理能力の持続的な強化が求められるデータセンターでのブレイクスルー技術として大きな注目を集めている.2024年3月,大手通信テクノロジー企業であるブロードコムが光電融合の一形態である光電コパッケージング(CPO: Co-Packaged Optics)技術を用いたネットワークスイッチの商用化を開始した(2)のに続き,2025年3月にはエヌビディアも同様形態のスイッチ製品を2025年内に発売すると発表している(3).
光電融合において光側システムの中核を成すのがシリコンフォトニクスである.シリコンフォトニクスは数百nmオーダの微小な断面を有するシリコン導波路をベースとした光回路技術であり,その強い光閉込め伝搬により数µmという曲げ半径で高密度に集積できる.更に,同じシリコンを材料とするCMOS技術とのプロセス親和性から,ファウンドリーを利用してチップの低コスト・大量生産が可能である.2009年にLuxtera(現Cisco)が初めてボード上に実装するタイプのシリコンフォトニクス光トランシーバを発表したのち,2016年にはIntelがシリコンフォトニクスチップを組み込んだプラガブル型光トランシーバ(注1)を商用化した.その後,シリコンフォトニクスはデータセンターを中心に普及が進んだ.そして現在は,上述したように,ボード上のスイッチIC近傍で光エンジンを実装するCPO形態での実用化も始まりつつある.更に,テレコムやコンピュータコム,バイオ・環境計測やライダ(LiDAR)といったセンシング,そしてホログラフィーなど,様々な用途での積極利用も期待されている(4)~(7).
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