小特集 1-2 Society 5.0実現に向けた分野間データ連携基盤(CADDE)の取組み紹介

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Vol.108 No.2 (2025/2) 目次へ

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1.サイバーフィジカルシステムの要素技術と産業応用(日本機械学会連携企画)

小特集 1-2

Society 5.0実現に向けた分野間データ連携基盤(CADDE)の取組み紹介

Introduction of Connector Architecture for Decentralized Data Exchange(CADDE)

石田明久

石田明久 (株)日立ハイテク診断システムソフトウェア設計部

Haruhisa ISHIDA, Nonmember (Diagnostic Systems Software Design Department, Hitachi High-Tech Corporation, Hitachinaka-shi, 312-8504 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.108 No.2 pp.116-119 2025年2月

©2025 電子情報通信学会

1.背     景

 近年,少子高齢化の進展により日本の生産年齢人口は減少傾向にある.そのため,日本は労働力の不足や国内需要の減少による経済規模の縮小など様々な社会的・経済的課題の深刻化に直面している.また,社会経済の発展に伴い,人々のニーズは多様化・高度化している.そのため,人々は従来の画一的な製品・サービスではなく各個人のニーズに合わせたものを求めるようになってきている.

 これらの課題や社会の変化に対応すべく,政府は狩猟社会,農耕社会,工業社会,情報社会に続く新たな社会の姿として超スマート社会(Society 5.0)を提唱した(1).この社会ではICT(注1)やデータの活用によって製品やサービスを人々の個別のニーズに対応させ,それにより人々は年齢,性別,地域,言語といった様々な制約を乗り越え,生き生きと快適に暮らせるようになると想定されている.

 Society 5.0で実現を目指す様々なニーズへのきめ細かな対応には,様々な分野のデータを収集し,組み合わせ,解析しなくてはならない.しかしこれまでWAGRI(注2)や都市OS(注3)などの,分野や地域ごとのデータ連携基盤を構築する取組みは行われてきたものの,それらを横断して連携可能とする仕組みは存在しなかった.そのため,様々な分野間のデータを組み合わせるための基盤として,SIP(注4)にて分野間データ連携基盤(CADDE(注5)(2)の開発に取り組んだ.本稿ではCADDEの特徴や構成について解説する.

2.データ連携の課題

 データ利活用への関心の高まりにより,データの利用はデータの創出に寄与したものによって主体的に管理されるべきであると考えられるようになってきている.そのため,データは一つの組織によって一元的に保存・管理されるものではなく,それぞれのデータの利用可否に関して承認できる主体の元で分散して保存・管理されるべきと考えられている.

 またデータ連携において,管理するデータを提供する側をデータ提供者,データを利用する側をデータ利用者とするとき,その際のプロセスは以下の流れになる.


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