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1.サイバーフィジカルシステムの要素技術と産業応用(日本機械学会連携企画)
小特集 1-3
Society Beyond 5G時代のサイバーフィジカルシステムに向けた確率的ディジタルツイン
Probabilistic Digital Twin for Cyber-Physical Systems in the Beyond 5G Era
次世代のBeyond 5G/6G時代では,人とロボットの協働や自動運転社会に向けた高度なCPS(サイバーフィジカルシステム)の実現が期待されている.高度なCPSにおいては,ロボットやドローン,自動車など様々な移動体が人々の生活の中に入ってくるため,効率性やコストだけでなく極めて高いレベルの安全性も求められ,更に新しいサービスを生み出して実社会の課題解決に資するためのプラットホームとしての役割も求められる.
そのための基盤技術として期待されているのがディジタルツインである.ディジタルツインを用いて実世界と仮想世界を高度に融合し,CPSによる実世界のディジタル化や制御と併せて,ICTシステムそのものの設計・制御の高度化も期待される.本稿では,効率と安全性の両立を目指した確率的ディジタルツインについて概説する.
ディジタルツインは,自動車やジェットエンジンや人やビルや町並みなど実世界に存在する様々な‘もの’を,仮想世界上で再現するものである.工場,航空,コネクテッドカー,スマートシティ,スマートビルなどにおける様々なICTシステム,特に高度なCPSを実現する上での重要な技術として期待されている.また,対象となる‘もの’は必ずしも物理的な物体だけでなく,機械の内部状態や,人間の感情・感覚,空間内の電波の伝わり方,その場のコンテキストなど実体のない様々なものまで想定されている.狭義のディジタルツインでは,実世界と仮想世界を双方向にディジタルで接続するループが想定されるが,広義にはディジタルデザインのように必ずしてもディジタルで接続されていないものまで含んで参照されることがある.
ディジタルツインに関連する概念は2000年代の初頭から様々な文献で紹介されてきたが,2010年代後半になって,文献(1),(2)などにおいて実現技術や技術課題など広範囲にレビューが報告され,広く知られるようになった.以降,Digital Twin Network(3)やCognitive Digital Twin(4)など,拡張した考え方なども提案されている.
Beyond 5Gにおけるディジタルツインとして,実際の社会やサービスに対するディジタルツインである「Real-world Digital Twin」と,Beyond 5Gインフラ部分を対象とする「Network Digital Twin」の2種類を構築することを提案した(5).Real-world Digital Twinの構築・制御のためには,遍在するセンサ等の機器を用いて膨大なデータを収集して現実世界を仮想世界に投影すること,また膨大なデータを分析・判断した上で仮想世界から現実世界に作用することが求められる.Network Digital Twinは,Beyond 5Gインフラの状態を把握するだけでなく実際の社会に提供する通信機能やサービスを最適化することが求められる.
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