学生/教養のページ 国際標準化活動という仕事とその魅力[Ⅰ]――IEEE 802での標準化について――

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国際標準化活動という仕事とその魅力[Ⅰ]
――IEEE 802での標準化について――

The Work and Appeal of International Standardization[Ⅰ]: Standardization in IEEE 802

北沢祥一

北沢祥一 正員 室蘭工業大学大学院工学研究科

Shoichi KITAZAWA, Member (Graduate School of Engineering, Muroran Institute of Technology, Muroran-shi, 050-8585 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.107 No.2 pp.182-185 2025年2月

©2025 電子情報通信学会


目    次

[Ⅰ]IEEE 802での標準化について(2月号)

[Ⅱ]システム及びソフトウェア品質の国際標準化に携わって(3月号)

[Ⅲ・完]スマートフォンによる通信を支える3GPPという国際標準化プロジェクト(4月号)

1.は じ め に

 国際標準化と聞かれてどんなイメージを持ちますか? 国際標準化は,様々な製品やサービスの品質,互換性,性能を統一することで,利便性を向上させる役割を果たしています.これらの規格で標準化された製品やサービスは日常生活に多くの恩恵をもたらし,私たちの生活の一部となっています.

 国際標準化は大きく分けると,デジュール規格,フォーラム規格,デファクトスタンダードの三つがあり,その中でまた多くの標準化には多くのグループや団体が存在します(1),(2)

 筆者は2009年からフォーラム標準の一つであるIEEE 802で最初は研究所の研究員,そして現在は大学の教員として標準化活動に携わってきました.

 本稿では学生や若手の研究者の方に向けて,国際標準化活動に参加し,将来的には標準化会議でリーダーとして活躍してほしいという願いを込めて,これまでの体験を交えながら標準化活動について紹介します.

2.各標準化の概要

2.1 デジュール標準(de jure Standard)

 de jureはラテン語で“法律上の”という意味で基本的に国が推進する標準化を指します.代表的な国際標準機関には,国際標準化機構(ISO: International Organization for Standardization)があり,ISOでは電気・通信及び電子技術分野を除く全産業分野(鉱工業,農業,医薬品等)だけではなく,ものだけではなく,マネジメントシステムの規格も制定しています.例えばISO 9001(品質マネジメントシステム),ISO 14001(環境マネジメントシステム)などがあります.また電気及び電子技術分野は国際電気標準会議(IEC: International Electrotechnical Commission),通信分野は国際電気通信連合(ITU: International Telecommunication Union)が担当しています.

2.2 フォーラム標準(Forum Standard)

 特定の技術分野に関する標準化を目的として,任意で設立された組織です.成立した規格をISOなどのデジュール標準化機関に提出されることも行われています.代表的な組織としてIETF(Internet Engineering Task Force),Bluetooth SIG(Special Interest Group)や,今回筆者が紹介するIEEE 802などがあります.

2.3 デファクト標準(De Facto Standard)

 De Factoは“事実上”の標準という意味で,デジュール標準に対して市場競争で勝ち残った企業の規格で,例えばMicrosoft WindowsやMicrosoft Officeなどが挙げられます.

 各グループの詳細は,本会の通信ソサイエティマガジンB-plusを参照して下さい(1)


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