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ネットワークの数理モデル
編集チームリーダー 山脇大造
「ネットワーク」とは相互接続された人や物という概念である.一般的にはインターネットといったコンピュータネットワークが思い出されるだろうか.古くからグラフ理論といった数理解析的な手法が開発されてきており,現在も精力的に研究が行われている.応用先はとても幅広く,コンピュータネットワーク,有線・無線通信ネットワーク,電力ネットワーク,ニューラルネットワークといった工学分野にとどまらず,生物学,言語学,社会学といった分野にも広がっている.
そこで本小特集では,「ネットワークの数理モデル」と題して,社会学,生物学に関連した内容をも含む応用例を提示することで,読者にその幅広い適用可能性を感じてもらうことを狙う.本小特集が技術者・技術の「ネットワーク」を広げる一助となれば幸いである.
第1~4章は無線・センサネットワークに関連した技術について,第5章では情報ネットワークに関するモデルについて,そして最後の第6章では細胞内の遺伝子間相互作用のモデルについて解説頂く.
第1章では,多くの分野で研究されているグラフ・ネットワーク理論について,特に通信に関し,主に無線通信におけるチャネル割当への応用について御紹介頂く.
第2章では,高度化・多様化の進展が著しい通信ネットワークの運用と管理を人口知能を活用して自動化する最近の取組みに関連し,提案されているアーキテクチャについて御解説頂き,それに関わる人口知能の信頼性保証に関する研究を御紹介頂く.
第3章では,センサネットワークを用いた多くの応用分野で求められる,少数センサでの周囲環境の網羅的把握を実現するために必要なセンサ配置問題に関する数学的背景について御紹介頂き,そのセンサネットワークへの応用について御解説頂く.
第4章では,特に無線LANの中継機器であるアクセスポイントの空間的な配置に焦点を当てたモバイルデータオフロードと呼ばれる無線LANを有効利用する負荷軽減技術に関する数理モデルについて御解説頂く.また,実際の地図情報を活用する手法について御紹介頂く.
第5章では,近年選挙のたびに大きな話題となっているSNSに関し,SNS内での情報の拡散がユーザのSNSにおける内部・外部行動に与える影響,特に,SNS外の行動を促すための情報提供戦略に関する数理モデルについて御解説頂く.
第6章では,細胞内での様々な遺伝子の相互作用を表す遺伝子ネットワークの代表的な離散数理モデルであるブーリアンネットワークと,その主要研究課題の概要について御解説頂く.更に,その拡張モデルや生命システムのモデル化事例についても御紹介頂く.
最後に,御多忙な中執筆に御協力頂いた著者の皆様に深く感謝致します.また,本小特集の企画,提案に御協力頂いた回路とシステム研究専門委員会の皆様,並びに編集に御協力頂いた本会誌ワーキンググループAの皆様にはこの場を借りまして感謝申し上げます.
小特集編集チーム
山脇 大造 岩居 健太 松田 哲直 相川 直幸 秋笛 清石 今井 國治 大隅 歩 小田川真之 佐保 賢志 孫 冉 宮下 山斗 宮田 孝富
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