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ネットワークの数理モデル
小特集 5.
SNSにおける情報拡散とユーザの社会的行動に関する数理モデル
Mathematical Model of Information Diffusion and Users’ Social Behavior in SNS
Abstract
SNSにおける情報の伝搬は従来にない形で現実世界に強い影響を与えている.一方で,誤った情報や虚偽の拡散は,一般市民に不適切な行動を助長させ社会的混乱を引き起こす可能性もある.本稿では,SNS内での情報の拡散が,ユーザのSNSにおける内部行動と外部行動にどのような影響を与えるか,特に,SNS外の行動を促すための情報提供戦略に関する数理モデルについて解説する.
キーワード:ソーシャルネットワーキングサービス,情報拡散,影響最大化,ユーザ行動モデル,外的行動と内的行動
近年,ユーザ同士がつながり,コミュニケーションをとることを目的としたソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の飛躍的な普及により,個々人はもとより企業組織や行政を巻き込み,情報を迅速に共有するための超巨大なオンラインプラットホームが形成されている.SNS上では,ユーザはプロフィールを作成し,友人やフォロワーとメッセージを交換し,写真や動画像を共有し,グループやコミュニティを作成して,共通の興味を持つ人々と交流することも可能になっている.
SNSは,特定の目的や興味に基づいて形成されるコミュニティを含む,より広範な概念としてオンラインソーシャルネットワーク(OSN)として記述されることがある(1),(2).OSNは,インターネットを通じて人々がつながり,情報を共有するための広範なネットワークを示し,ブログ,フォーラム,ウィキ,オンラインゲームなども含む.OSNは,情報の共有やコミュニケーションを促進するための広範なネットワークを指すため,特に人間関係の構築や維持に重点を置いているSNSは,OSNの一部として含まれる.本稿では,主にOSNを対象とした研究内容について解説するが,実際の応用先はSNSがメインとなるため,OSNをSNSと表現している.
SNSで起こる情報拡散は対象の認知度を向上させるため,実社会にしばしば強い影響を与えている.例えば,無名の商品が話題になることで売上が増加し,行政上の課題に対する抗議の声が集まることで行政に課題解決を促すケースがある(3).反対に,誤報やデマの拡散によって,不適切な行動が群衆化することで社会を混乱させ,誤った認識が広がることで風評被害の発生や逆効果な政治的判断につながるケースもある(4).このようなSNSの影響力を鑑みて,最近では,情報提供によってユーザの意思決定に関与することで,情報拡散のポジティブな効果を高める,あるいは,ネガティブな効果を抑制する取組みが重要視されており,具体的な方法が幾つか提案されている(5)~(7).
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