![]() |
電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
© Copyright IEICE. All rights reserved.
|
◆今月のニュース解説
①小形で幅広い用途へ展開可能な顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術を開発
――カメラモジュールの接続で,高速かつ高精度な認証を実現――
Development of Compact Face and Iris Multimodal Biometric Recognition for Wide Range of Applications: Camera Module Connection Enables High-speed and High-accuracy Biometric Recognition
②高速な光量子状態の生成・読出し技術の確立
――大規模光量子計算の基幹技術へ――
Establishing Technology for High-speed Generation and Read-out of Optical Quantum State: A Foundation toward Large-scale Optical Quantum Computation
③酸化物半導体を用いた新しいDRAM技術の開発
――低消費電力かつ高信頼性を有する新型DRAM実現へ期待――
Emerging DRAM Technology Using Oxide Semiconductor: New-type DRAM of Low Power Consumption and High Reliability
④結合形多モード・マルチコア光ファイバの構造設計の考案と実証
Proposal and Demonstration of a Structural Design for Coupled Multi-mode Multi-core Fiber
――カメラモジュールの接続で,高速かつ高精度な認証を実現――
日本電気株式会社(NEC)は,小形で幅広い用途へ展開可能な顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術を開発した.既存のPCやタブレット端末にカメラモジュールを接続するだけで,数千万人規模の認証を高速かつ高精度に実現する.
入退管理やスマートフォン等の個人端末の認証に利用される顔認証技術は目や鼻,口といった特徴から個人を判別するが,虹彩認証は人の黒目のうち瞳孔を除いたドーナツ状の領域の模様から個人を識別する技術である.虹彩は顔の一部分であることからユーザに特殊な操作を要求せずに二つの要素を用いた認証を行うことができる.顔と虹彩は親和性が高い一方,それぞれで認証に必要な画像の品質要件が異なる.
要件の一例として,顔認証では縦幅20cm弱,横幅15cm弱程度の顔領域の画像から個人を識別するが,虹彩認証では直径約1cm程度の黒目部分の模様を個人の識別に使用する.一般的には虹彩直径を160画素以上で撮影することが望ましいため,虹彩領域の解像度に合わせてカメラを調整すると顔領域に見切れが発生し,顔が満遍なく映るよう画角を調整すると虹彩部分の解像度が不十分となる.このような理由から顔と虹彩のマルチモーダルで認証する場合,従来では顔用と虹彩用の複数台のカメラを搭載する必要があった.
NECはこうした課題を解決する虹彩認証エンジンを開発した.図1に示すように,解像度の低下や雑音といった低品質な画像でも個人認証を行えるようエンジンの学習方法を工夫した.具体的には同一人物の高品質と低品質の画像を複数セット用意し,従来の高品質画像用の認証エンジンを用いて蒸留学習を行った.これにより認証エンジンに低品質な画像を入力した場合でも,高品質画像から抽出した特徴と類似した特徴量を推定することが可能となった.認証エンジンの学習方法の改良により,従来と比べて虹彩直径の解像度が半分程度,更に雑音を多く含む低品質な画像からも個人の識別が可能となった.
続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。
電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。
電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード