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――大規模光量子計算の基幹技術へ――
国立大学法人東京大学大学院工学系研究科,日本電信電話株式会社(NTT),国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)及び,その他四つの国内外の研究機関の共同研究で非古典性の高い光量子状態の高速な生成・読出しに成功し,大規模な光量子コンピュータの開発を前進させた.
量子コンピュータを実証実験レベルから実用レベルに引き上げるためには,幾つか越えなければならない課題がある.その中で,量子ビット数の大規模化が最重要な課題の一つである.光量子コンピュータの開発者は時間領域多重と呼ばれる手法でこの課題にいち早く取り掛かっており,少ない光学素子の数で大規模汎用型光量子コンピュータの手法を確立した.その成果の結晶として,2024年11月に国立研究開発法人理化学研究所で100入出力の光量子計算を実装できる実機を公開した.しかしながら,この100入出力でもまだ実用には足らず,これを更に拡大させなければならない.時間領域多重の方式では計算規模に対して,光学素子数は増えないが,時間領域に情報を符号化しているので,遅延系を長くする必要がある.その関係性を図1に表す.例えば,理化学研究所の実機では10ns(100MHz帯域)の波束に量子情報を符号化しており,100入力のため,100×10ns=1µsの時間遅延が必要になり,約200mのファイバで実現した.そのため,この10nsを例えば,100分の1に短くできれば,同じファイバでも100倍の入力数を実現することができる.今回の成果はこの量子状態の生成及び読出しの帯域を大幅に向上させ,約60GHzに向上することができ,このような光量子コンピュータの大規模化を更に促す技術になる.
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