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宇宙で使っても壊れないハードウェア開発の最前線
小特集 5.
観測ロケットによる電離圏中の電界観測
Measurement of Electric Filed in Ionosphere by Sounding Rocket
Abstract
電離圏中で発生する物理現象の観測には,観測ロケットが主に使用される.特に,電離圏プラズマのダイナミクスや電離圏内で発生するじょう乱現象を解明するためには,電離圏内における電界のその場観測が重要である.そこで,電離圏内で電界観測を行うための電界観測装置について,観測原理及び観測装置について解説する.特に,材質及び長さを検討し開発されたアンテナブームを紹介する.更にアンテナブームの伸展に異常が発生した場合において,取得したデータからサイエンスに使える電界データを導出することができるか検証した結果について説明する.
キーワード:観測ロケット実験,電離圏,電界観測,ダブルプローブ法,アンテナブーム
電離圏は電離源である太陽光の入射強度や背景大気の状態に応じて時間・空間的に変化する.一日の周期の変動や季節に伴う変動,太陽活動に伴う変動など規則的に繰り返される変動がある.こうした周期的な変動に加えて,不規則な電離圏の乱れも発生する.電離圏の乱れは通信に最適な周波数や電波の到達距離を変え,通信障害を来すことがある.通信や放送に用いられる電波の送信点から受信点までの伝わり方は周波数によって異なっており,この周波数ごとの電波伝搬の違いにより電離圏での現象による影響も異なる(1).そのため,これまでに観測ロケットを用いた電離圏中の電磁場観測,電子・イオンの観測等が行われてきた(2).特に電界は,電離圏中の電子及びイオンの運動を解析するために重要な物理パラメータである.そこで,本稿では電離圏中での電界観測原理について解説する.そして,電界観測装置を構成するアンテナブームについて詳細に説明する.特に,観測ロケットが飛翔する電離圏特有の環境に適応させるため,材質・長さ及び伸展方式について検討したアンテナブームを紹介する.
また,観測ロケット実験では地上での準備を入念に行い,ロケット実験時にはトラブルが発生しないように注意深く試験が行われている.そのため観測ロケット実験では,搭載機器が正常に動作し,電離圏中の電磁界及びプラズマに関するデータが取得されている.しかし,まれに搭載機器が正常に動作せず,部分的に観測が行われる場合がある.このような観測時のトラブルが発生した場合において,取得した観測データからサイエンスに使えるデータを導出することができるか検討した.本稿では,SS-520-3号機観測ロケット実験において発生したアンテナブームの伸展動作異常時に得られた観測データから電界データを導出することができるか検証した結果について報告する.
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