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解説
メタバースのユースケースと通信要件の標準化
Standardization of Use Cases and Communication Requirements for the Metaverse
A bstract
インターネットを利用した仮想空間上のサービスであるメタバースについて,通信システムの国際標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)で,どのようなユースケースが標準化の対象とされているか解説する.また,3GPPで標準規定されている遅延,データレート,信頼性等のメタバースの通信要件について,ユースケースや通信方向,取り扱うデータの種類等によって目標数値が異なり,特に厳しい値が規定されている項目には,共通の傾向が示唆される点について解説する.
キーワード:メタバース,通信要件,標準化,遅延,データレート,信頼性,トラヒック容量
メタバースとは,英語の「超越(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語で,インターネットを利用した仮想空間で交流やサービスを楽しむ場所のことを指す(1).第3世代移動通信システム(3G)の国際標準仕様策定を目的に設立され,現在は3Gに限らず通信システムの国際標準仕様を検討・策定している標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)(2)では,メタバースのユースケースと通信要件に関するドキュメントとして,以下の(1),(2)を公開している.
(1)3GPP TR 22.856 “3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group TSG SA; Feasibility Study on Localized Mobile Metaverse Services(Release 19)”(3)
(2)3GPP TS 22.156 “3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Services and System Aspects; Mobile Metaverse Services; Stage 1(Release 19)”(4)
(1)は,メタバースのユースケースとサービス要件の調査結果に関する技術報告書である.(1)では,様々なメタバースのユースケースについて,サービスの実現に必要な要件を検討し,特に通信観点のKPI(Key Performance Indicator)として,遅延,データレート,信頼性等の目標数値を設定している.同じユースケースでも,通信方向(アップリンク・ダウンリンク)や,取り扱うデータの種類(映像・音声・触覚フィードバック情報等),通信区間(サーバ―端末間・端末―端末間等)によってKPIが異なる場合,複数の項目に分類して,項目ごとにKPIを設定している.
(2)は,メタバースのサービスとパフォーマンスの要件を規定する技術仕様書である.(2)では,(1)の検討結果に基づいて,最終的に技術仕様として採用された通信観点のKPIとして,(1)の項目ごとに,遅延,データレート,信頼性等の目標数値を規定している.
本稿では,メタバースのユースケースの標準化と,メタバースの通信要件の標準化について解説する.メタバースのユースケースの標準化では,(2)で通信観点のKPIが規定されている項目に対して,各項目に対応する(2)のユースケースを抽出し,メタバースのどのようなユースケースが標準化の対象になっているか解説する.メタバースの通信要件の標準化では,(1)で通信観点のKPIが規定されている,遅延,データレート,信頼性等のメタバースの通信要件ごとに,特に厳しい標準仕様が規定されている項目を抽出し,どのような共通の傾向が示唆されるか解説する.
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