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STEAM教育の力
小特集 3.
STEAM教育と社会課題
STEAM Education for Solving Social Issues
Abstract
社会が急激に変化する中,グローバルな観点から新しい知を創造し,また,新しい社会的価値を創出する人材の育成が求められている.そのため,教科等を横断して知識を捉え,探究学習の場を用いて主体的・協働的に取り組むSTEAM型探究学習が重要と考えられる.効果的にSTEAM型探究学習を実践していくためには,現行の学校のカリキュラムの中で「何を学ぶか」,「どのように学ぶか」を考慮に入れて,教育の場・教材・教育方法・人員をデザインしていく必要がある.産官学民の連携の下でフォーマル教育,ノンフォーマル教育を考慮したSTEAM型探究学習の事例を取り上げる.
キーワード:教科等横断,探究学習,デザイン思考,企業連携
現代,社会は混沌とし,経済が不安定で先行きが見えにくい状況である.その一方,地球温暖化,エネルギー問題,医療など,地球規模での解決が求められている社会問題も増加している.特に,日本は少子高齢化により就業人口が減少し,経済基盤である製造業からITを中心とした知識基盤へと産業構造も変化している.このように社会が急激に変化する中,グローバルな観点から,新しい知を創造し,また,新しい社会的価値を創出する人材の育成は重要である(1).
日本では,2020年から現行の学習指導要領が小学校から高校へと順次導入された.従来の「知識偏重」から,知識を俯瞰し,答えが一つではない課題を解決するために必要な力を養い,活用する教育へと変化している.実社会・世界での課題を発見し,解決する力を身に付けるため,教科等横断的な学びを主体的・協働的に取り組む,STEAM教育が着目されている.STEAM教育の重要性及び方向性については,中央教育審議会で議論されており,また,論文や本においても論じられている(2)~(4).
STEAM教育を実践するためには,現行の学校のカリキュラムの中で「何を学ぶか」,「どのように学ぶか」を考慮に入れて,教育の場・教材・教育方法・人員をデザインしていくことが大事である.そこで,各教科の学習を大事にしつつ,横断・統合する場として,探究学習を活用するSTEAM型探究学習について取り上げる.その際に,学校現場に閉じない,社会との連携・協働が重要となる.本稿で社会連携の例として,二つの事例を紹介したい.まず,最初は,フォーマル教育の枠組みとして,東京大学生産技術研究所(東大生研)と教育委員会との連携による高等学校教育過程における「総合的な探究の時間」,「理数探究」や「理数探究基礎」における事例である.そして,二番目の事例は,中学生と高校生を対象に大学と企業が連携して行ったワークショップ及び教材開発について取り上げる.
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