ソサイエティのページ 論文誌Nonlinear Theory and Its Applications, NOLTA, IEICEの近況

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.108 No.9 (2025/9) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


基礎・境界ソサイエティのページ

論文誌Nonlinear Theory and Its Applications, NOLTA, IEICEの近況

Recent Developments of the Journal―Nonlinear Theory and Its Applications, IEICE

NOLTAソサイエティ

 Nonlinear Theory and Its Applications, NOLTA(以下,NOLTA誌)は,2010年10月に創刊されたオープンアクセスジャーナル(OA誌)です.非線形科学の広い分野をカバーする国際誌として,2014年のNOLTAソサイエティ(以下,NLS)の発足に先駆けて創刊されました.NLSの旗艦誌であり,2025年には第16巻に入っています.著者がAPC(Article Processing Charge;論文掲載料)を負担するタイプのOpen Access誌(以下,OA誌)で,J-STAGE(科学技術振興機構が運営する日本の学術情報プラットフォーム)によって公開されています.シングルカラムではあるものの英文30ページ上限の定額APCを採用しています.本稿では,NOLTA誌のこれまでの取組みを振り返るとともに,最近の取組み・奮闘をお知らせして,本会の学際領域の研究者の方々に「体裁を整えた」NOLTA誌への投稿先としても興味を持って頂きたいと思います.

NLSとNOLTA誌

 NLSは基礎・境界ソサイエティ(以下,ESS)からスピンオフして誕生したコンパクトサイズのソサイエティです.NLS発足前,本会に所属する非線形研究者にとっての旗艦誌はESSの発行する和文誌JA,若しくは英文誌EAであり,この二つの論文誌での発表を中心にキャリアを形成した研究者も多かったと思われます.そこへNOLTA誌が登場したものの,論文の言語が英語に絞られてしまいますし,EAはJIF(ジャーナルインパクトファクター)も保ち,Scopusにも収載されているため,改めてNOLTA誌にスイッチするのは抵抗も警戒感もあったのではないかと思われます.一方で,国際化展開のためには英語が当たり前,オープンアクセスに関する肯定的な意見も多く,元々研究姿勢がオープンであった非線形科学者には今後定着していく可能性はあったと思います.

 NLSソサイエティ大会,NOLTAシンポジウムにおいて歴代編集委員長によるNOLTA誌紹介のスロットを用意し,OA誌の意義,ソサイエティ内の国際活動モデルなどを周知広報していました.シンポジウム期間中にはNOLTA誌拡大編集会議として海外編集委員を招き,同誌の周知,スペシャルセクション提案なども依頼してきました.しかし,NOLTA誌にJIFをはじめとする格付けがないから投稿は困難であるとあからさまに述べる委員もいて,シンポジウムの成功とは別次元の困難を実感することとなります.更には2020年頃から流行した感染症の影響でシンポジウムも中止やオンライン開催となり,海外参加者も激減してしまいました.図1に投稿数・掲載数の推移を示します.学生による意欲的投稿に支えられ,平均的に右上がり傾向は維持しています.しかし,海外からの投稿は漸減になっていました.

図1 NOLTA誌への投稿数・掲載数の推移(2025年は6月まで)  投稿数と掲載数の間には遅延があることに注意.

 ところで,J-STAGEにおいて,認証なしに自由に読める記事のカテゴリーとしては“Free Access”と“Open Access”があります.後者は論文内容の再利用を目的としたクリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンス表示が必要であり,NOLTA誌は長らく対応できていませんでした.創刊から純粋なオープンアクセスのつもりでいましたが,J-STAGE上ではそう扱われてなかった,ということになります.


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録

  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。