
大出力LD励起レーザによる連続ターゲット照射の実証
──レーザフュージョン発電実証に向けた第一歩──
レーザフュージョン研究では,重水素と三重水素を封入した燃料ターゲットに対し,メガジュール級の紫外レーザパルスを照射し,原子核同士を融合させる実験が行われている.2022年12月,米国ローレンス・リバモア国立研究所の国立点火施設(NIF)において,投入したレーザエネルギーを上回るフュージョン出力,すなわち「点火(自己持続的核融合反応)」が世界で初めて実証された.この成果を契機として,欧米ではレーザフュージョン発電の実現を目的とした国家プロジェクトが相次いで始動している.
フュージョンエネルギーは,温室効果ガスを排出せず,安定した大電力を供給できる究極のクリーンエネルギー源として,世界的に注目を集めている.現在,各国で研究開発競争が加速しており,日本においても成長戦略の中でフュージョンエネルギーの重要性が明記され,2030年代の発電実証を目指す取組みが本格化しつつある.
レーザフュージョン発電の実用化には,1秒間に10回(10 Hz)の頻度で燃料ターゲットを供給し,それに同期して高出力レーザパルスを照射する技術が必要となる.現在のNIFのように数時間に1回の実験を行うシステムとは異なり,高繰返しかつ高安定性を備えた連続照射技術が不可欠である.
浜松ホトニクス株式会社及び(株)EX-Fusionは,レーザフュージョン発電に必須となる連続照射技術の確立を目的として,直径1 mmの金属製模擬ターゲットを1秒間に10回の頻度で真空チャンバー(図1)内に投入し,ターゲット位置を予測・追尾しながら,波長1,030 nm,パルスエネルギー10 J,繰返し周波数10 Hzのレーザを照射する実験を実施した.レーザ室に設置されたLD励起・低温ヘリウムガス冷却方式のYb : YAGセラミックスレーザ(図2)のレーザ発振器から,レーザ照射室に設置された実験チャンバーに供給される模擬ターゲットまで伝搬距離は100 mを超える.

