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Vol.109 No.3 (2026/3) 目次へ

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タイトル5.

ニューラルネットワークを使った放射電界の予測5

Prediction of Radiated Electromagnetics Fields Using Neural Network

池田浩昭

池田浩昭 日本航空電子工業株式会社コネクタ事業部

Hiroaki IKEDA, Nonmember (Connector Division, Japan Aviation Electronics Industry, Ltd, Tokyo, 153–8539 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.109 No.3 pp.185–190 2026年3月

© 2026 電子情報通信学会

プリント基板の物理情報に基づき,3m遠方の放射電界をニューラルネットワークで予測した.訓練データは3,553通り,テストデータは100通りのデータと複数のネットワークを準備して,予測精度を比較した.その結果,第1中間層は80ノード,第2中層は160ノードでテストデータに対する決定係数は0.99となり,良好な予測値が得られた.テストデータを使った予測値とプリント基板の物理構造を検証すると,配線が基板端に近いモデルの予測精度が低かった.これは,配線が基板端面に近づくに従い,急激に増加する放射電界が原因である.よって,基板端面付近の配線モデルを追加して機械を訓練すれば,予測精度の向上が可能と考えられる.

キーワード:ニューラルネットワーク,放射電磁界,電磁界シミュレーション,EMC

1. は じ め に

電子機器を製造し,市場で販売するには,各国で定める安全規格に遵守する必要がある.その一つに,EMC(ElectroMagnetic Compatibility)規制(1)があり,不要な電磁波の発生により他の電子機器の動作を妨害せず,電磁波の照射や静電気の影響を受けても誤動作しないことが義務付けられている.したがって,機器が完成し,所定の動作が可能になった段階で,放射電界の測定が必要である.図1に電波暗室での測定風景を示す.

EMC対策の難しい点は,電子機器がきょう体まで含めた完成状態で,なおかつ,完全に動作する状況でないと,試験が行えないことである.そのため短期間で対策を行い,規格を満足する必要がある.更に,販売時期が切迫するため,大幅な設計変更は困難となっていることが多い.一方で,コンピュータやソフトウェアの進歩により,電磁界シミュレータを使った放射電界の予測が積極的に行われるようになった.しかし,電子機器は年々,信号の高速化や設計期間の短縮化に,電磁界シミュレーションのスピードが追い付かないのが現実である.この状況を打開するために,電磁界シミュレーションの代替として機械学習を使って放射電界を予測する検討を行った.機械学習は,機械(コンピュータ)を訓練する手間があるが,訓練が完了すれば,電磁界シミュレーションとは桁違いのスピードで放射電界を予測でき,従来はプリント基板設計完了後に数十時間から数日かけて行っていた電磁界シミュレーションがリアルタイムで行える.その結果,プリント基板設計者が設計を行いながら,同時に放射電界の予測が可能になり,放射電界の少ない基板設計が可能となる.

本稿では,簡単なマイクロストリップラインの物理情報(配線位置,配線長)を入力して,放射電界を周波数に対して予測する回帰モデルを機械学習で作成して,その予測精度を検証した.


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