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ヒューマンコミュニケーショングループ(HCG)の歩み
The History of the Human Communication Group (HCG)
1. は じ め に
電子情報通信学会(IEICE)のヒューマンコミュニケーショングループ(HCG)は,1995年のソサイエティ制導入時に創設された,本会内で唯一の「グループ」組織である.領域固有のソサイエティとは異なり,HCGは人間(Human)を中心に据えた横断的・学際的な研究交流を目的とし,研究会(第一種・第二種・第三種)を核に機動的に活動してきた.「人にやさしい」「楽しく議論できる」というコンセプトを掲げ,工学・情報学のみならず心理学・社会学・医学・看護学・家政学など,多様な専門が交わる“学際の交差点”として機能している.本稿では,グループの概要・歴史とグループの年に1度の一大イベントであるHCGシンポジウムの二つの側面からHCGのこれまでの歩みを概観する.
2. 「グループ」としての歩み
2.1. HCGの「グループ」としての創設
1995年,本会は学会運営を刷新し,専門分野ごとに自律的に活動するソサイエティ制を導入した.このとき,四つの工学系ソサイエティとは異なる横断組織として,唯一の「グループ」であるヒューマンコミュニケーショングループ(HCG)が創設された.HCGは「人」を研究対象の中心に据え,学際的・横断的に自由な議論を進める場として設計され,従来の枠組みに収まり切らない新領域のフロンティア開拓を目指した.創設直後から第一種研究会として,ヒューマンコミュニケーション基礎(HCS),ヒューマン情報処理(HIP),マルチメディア・仮想環境基礎(MVE)の3研究会で活動を開始した.
HCGの源流は,1988年発足の「知的コミュニケーションと符号化」第三種研究会(1988~1989年)に遡る.これを継承して1990年4月に基礎・境界グループの中にヒューマンコミュニケーション(HC)研究会(第一種研究会)が発足し,5年間の活動を経て,1995年のソサイエティ制導入とともに現在のHCGへと発展的に移行した.5年という短期間で一つの研究会が「グループ」へと発展した事実は,当時の熱気と学際的広がりを示している.
2.2. 理念の確立と研究会の拡充―「小回りの利くミニソサイエティ」として
HCGが「グループ」というミニソサイエティの制度を採ったのは,論文誌を自前で持たない代わりに機動的に運営し,本会のフロンティア領域を開拓するためだと当時の運営委員長は述べている(1).評価軸の多様化(「新しい評価基準」),専門家以外にも開かれた「民に開かれた研究」,異分野交流の場づくりといった指針が早い時期から明確化され,「楽しく議論できる場」というHCGらしい雰囲気が醸成された.
創設時の3研究会に続き,福祉情報工学(WIT)が1999年に第二種研究会としてスタートし,2001年に第一種研究会となった.更にWITは2008年度から英語名称を“Well-being Information Technology”とし,障害・高齢・生活支援の知を“ウェルビーイング”の視点で捉え直す広がりを示した.2000年代半ばにはWebインテリジェンスとインタラクション(WI2),脳情報通信(BICT),ヴァーバル・ノンヴァーバル・コミュニケーション(VNV),食メディア(CEA),人間とICT倫理(EHI),発達障害支援(ADD),ヒューマンプローブ(HPB)などの第二・第三種研究会が次々に生まれ,2011年時点で第一~第三種を合わせて12研究会までに発展した.

