4.
Beyond Connectivityに向けて
──6G ISAC×AI-RANの融合──
Toward “Beyond Connectivity”: Fusion of 6G ISAC and AI-RAN
矢吹 歩 池田友典

通信インフラにセンシング機能を統合するISAC(Integrated Sensing and Communication)は,通信事業者にとって新たなサービスを創出する可能性がある技術であり,その価値はAIとの融合により更に高まることが期待される.そのため,通信とAIの統合に向けて開発されているAI-RANは,ISACを実装する上でも重要な概念と言える.本稿では,AI-RANの概要とISACとの関連性について説明した上で,ISACに対するAI適用に向けて筆者らが取り組んできた研究開発とその結果について紹介する.
キーワード:ISAC,6G,AI-RAN,AI
1. は じ め に
2023年11月,ITU-R WP5D(Working Party 5D)は「Framework and overall objectives of the future development of IMT for 2030 and beyond」(Recommendation ITU-R M.2160)を策定し,6GにおけるUsage Scenarioを提示した(1).この中で,通信とセンシングを統合するISAC(Integrated Sensing and Communication)が一つの要素として位置付けられている.我々のような通信事業者にとって,通信とセンシングを同一のインフラ上で実現するISACは,新たなサービスの創出が期待される技術である.
同様に,同勧告ではAIと通信の融合も重要な要素とされている.ソフトバンクではGPUを活用した新しいRANアーキテクチャであるAI-RAN(Artificial Intelligence Radio Access Network)(2),(3),(4)の実用化に向けて開発を進めており,AI-for-RAN,AI-on-RAN,AI-and-RANのカテゴリでの開発を進めている.ISACにおいて,ほぼリアルタイムで物体の位置情報をセンシングするために高度な計算能力が必要となる.AI-RAN基地局は汎用サーバーを基盤にしており,サーバーに搭載されているGPUを活用することができるため,膨大な計算を実行するのに適している.また,基地局というモバイルネットワークの末端に近いところでGPUによる高速計算を行うことができるため,物理的に低遅延な推論が可能である.そのためISACを実行する環境として,AI-RAN基地局は適した環境だと考えることができる.我々は,6Gの研究開発の中でAIを用いたISACの精度向上を一つの主軸とし,2022年からISACの実用化に向けた研究開発を行っている.
本稿ではまず,AI-RANの概要について説明したあと,我々がこれまで検討してきたISACとAIの取組みとして,ミリ波基地局を用いた屋外実証実験,ミリ波レーダ装置を用いた屋内実験について紹介する.

